東京機械vsアジア開発、総会巡る司法判断の焦点 強烈な買収防衛策の是非を東京地裁が初判断へ

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ADCが東京地裁に提出した書面によれば、ADC分を含めればどう計算しても、賛成は過半数を超えない。

ADCによれば、東京機械が臨時総会の基準日と定めた9月14日時点でのADCの議決権は3万4852個。このほかにADCが集めた委任状が5580個あった。一方で、ADCと同様に「議案の当事者だから」として議決権行使を認められなかった東京機械取締役の議決権は148個だ。

ADCを「反対」、東京機械取締役を「賛成」にカウントし計算すると、賛成率は41.32%で、5割を切る。

ADCが集めた委任状を東京機械が「無効」としたのは、ほとんどの委任状に「株主提案に係る議案につき(中略)議決権を行使すること」と書いてあったからだ。実際、今回の総会議案は会社提案しかなく、株主提案はない。東京機械は、東京大学の田中亘教授など「複数の著名な会社法学者」に確認したところ、「無効とするのが妥当」との意見を得たという。

ただ、反対を表明しているADCに委任状を送った株主は、防衛策の発動に反対していると解釈することもできる。そうでなければADCにわざわざ委任状を送らないだろうからだ。そこで書類上の不備を大目に見て、ADCが集めた委任状を「反対」とカウントしたとする。分母のみが増え、賛成率は38.39%と、3割台に低下する。

「安定株主の票の加算はアンフェア」

ADCのアンセム・ウォン社長(右)は総会後に「反対多数だった」と勝利宣言をした。左はADCの代理人を務める大塚和成弁護士(撮影:梅谷秀司)

さらに、「百歩譲って、公開買い付け規制に係る3分の1を超える分(中略)を無効と取り扱っても」(ADCの提出書面より)賛成率は44.99%で、5割を切る、としている。この場合も、ADCが集めた委任状を「反対」にカウントすると、賛成率は41.54%と、さらに下がる。

このほか、東京地裁に提出した書面の中で、ADCは「賛成には、損保ジャパンの議決権(5000個)、みずほ銀行の議決権(2122個)、(中略)三井住友銀行の議決権(4232個)も含まれている」ことを指摘している。

大株主のうち、これらの安定株主の票を加算するのはアンフェアだとして、分母や分子から除外すべきではないかと問題視。これら安定株主の賛成票を除外した場合、賛成率は46.31%。やはり5割を切ることになる。

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