拾った「火中の栗」、3年で再生できたワケ SOLIZE・古河建規社長に聞く(後編)

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  コンサルティング会社から製品開発のエンジニアリング会社に移り、新規事業の開発や事業再生に取り組んできた古河さんは、突然、社長から管理部門への異動を命じられる。実は会社は火の車だった。民事再生を申し立て、自身が社長となって再建に奔走する中で、見えてきたものとは?

※前編はこちら

民事再生を申請して社長に

三宅:前回はSOLIZEの前身のインクスの経営が悪化したところまで伺いました。社長になられたのはいつですか?

古河:2009年の秋です。民事再生を申請し、私が社長をするという再生案が債権者に承認されて、社長になりました。再生案は通ったものの、何十億円もの金額を返さないといけないことになり、かなりのチャレンジでした。

三宅:再生計画が可決されたときは、どう思われましたか?

古河:とにかく本当にうれしかったです。どんな形でも案が通れば、次に頑張れる入場チケットをもらえる。会社が存在していければ、いいメンバーがたくさん残っているし、いいお客様もいましたから、頑張ろうと思いました。

三宅:しかし、波乱万丈の人生とはこのことですね。でも会社は文字どおり火の車で、火中の栗を拾うことになるのに、どんだけ前向きなんですか。

古河:そうかもしれませんが、再生案が通るかどうかの瀬戸際の頃、エレベーターとかで社員と一緒になると、「転職活動はしていません。古河さんなら通せると思うので、よろしくお願いします」と、社員が言ってくれたりするのですよ。これは何としても通さなくては、再生しなくてはという気持ちになっていましたね。

三宅:社員の中にも、自分たちの努力で盛り返していきたいという団結のようなものがあったそうですね。しかし、この状態で社長を引き受ける度量の広い人は、そうはいないでしょう。

古河:よく社長を引き受けましたねと言われますけど、受けるか、受けないかの選択肢は自分の頭には思い浮かばなかったです。自分がみんなの力になれるのならうれしいし、再スタートするチャンスをもらえるのだという気概のみでした。

すべては自分の“心”が作り出す

三宅:突然ですものね。それで再建が始まるわけですが、何十億円もの借金があって、毎月キャッシュが減っていく中で、怖くありませんでしたか?

古河:怖いとは思いませんでした。幸せな性格で、「ちゃんと再生は終わるのだ」と思っていました。

あるとき、私は、みんなが生き生きと笑顔で働く会社にしたいと話しました。そうしたら社員が、「それなら1日も早く再生を終えないといけないですね、みんな不安ですよ」と笑顔で言ってくれました。そりゃそうだなと(笑)。こんないい社員に囲まれているのだから、生き生きとした会社を創る最初の手段として、まず再生を1日も早く終えるんだ!と思っていました。

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