山手線2日間運休「渋谷駅大工事」何をどう変えた 人力で線路支える桁ごと横に、ホームを広げる
工事そのものは渋谷駅のみだが、山手線内回りは池袋―新宿―大崎間で運転を見合わせた。この区間を運休としたのは、「渋谷駅の前後で折り返しできる設備は池袋と大崎のみで、これが運休できる最短距離のため」(広報担当者)。運休した列車は2日間で570本近くに及んだ。
大動脈である山手線、しかも渋谷・新宿という大ターミナルを通る区間を長時間ストップさせる必要があったのは、「線路を所定の位置に移動させた後でないと、ホームを広げる部分を造れないため」(芹沢課長)だ。
作業の主体が「人力」の理由
現在、渋谷駅の山手線内回り線路は仮の工事桁の上に敷設した構造になっており、線路移設にはこの桁ごと横に移動させる必要がある。
工事時間をできるだけ短縮するため、移動幅の大きい恵比寿寄りのバラスト(砕石)軌道の区間約64mと、工事桁の区間約90mは事前に施工済み。すでに所定の位置に設置したこの桁とつながるように全長約145m、17連の桁を動かすのが、今回のハイライトの1つだった。
横に移動する幅は最大4.2m。工事直前まではこの桁の上を電車が走っているため、終電後でないと作業にとりかかれない。さらに、もともと桁があった場所にホームを広げるため、桁の移動が終わらないと拡幅作業に入れないのだ。
工事には約40台の作業用車両「軌陸車」も投入したものの、作業の主体は人力だ。線路上を走行できるクレーンの使用は2台のみ。現場の両側が山手線外回り、埼京線(湘南新宿ライン)下りと、列車を運行している2本の線路に挟まれており、重機が使いにくいためだ。
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