国内タイヤ市場の"ガラパゴス"な実情 狭いレンジで価格が乱高下しているワケ
だが、こうした価格の乱高下も、実は300円ほどの狭いレンジでの動きにすぎないと見ることもできる。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の岩井徹シニアアナリストによると「日本のタイヤ価格は安定的で、欧米に比べると変動幅は小さい」という。
そのカラクリは商流の違いにある。欧米では小売業者がメーカーから買い切りで仕入れ、在庫を抱える仕組み。一方、日本ではメーカーが在庫を持ち、地場の小売店から注文が来れば、そのたびに納品するスタイルが主流だ。
こうした小売業者は地域的なすみ分けがなされている。そのため、欧米のような競争原理が働きにくく、相対的にタイヤ価格が安定しているのだ。
価格下押しの構造変化
ただ、この先も国内のタイヤ価格が安定的に推移する保証はない。いくつかの構造的な変化が起きているからだ。
1つは原料価格の低下。需要が急拡大した時期に植えられたゴムの木が、ここに来てゴム液を採取できるようになった。
その結果、天然ゴムの価格は2009年ごろの水準まで低下した。原料安の恩恵で利益が出やすくなったタイヤメーカーは、販売価格を下げ、シェア拡大に動いている。
さらに、新興国メーカーの低価格タイヤも存在感を増している。「最近、聞いたことのない中国メーカーに関する問い合わせを受けるようになった」(オートバックス東京ベイ東雲の佐藤洋平氏)。
また、リーマンショック後に需要が急増した軽自動車のタイヤ交換のタイミングが近づいている。通常、タイヤの寿命は5~6年。今後は価格の安い小型車用タイヤの比率が増え、平均単価を押し下げる要因となりそうだ。
(「週刊東洋経済」2014年8月30日号<8月25日発売>掲載の「価格を読む」を転載)
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