名ばかりのオンライン販売を始めたホンダの苦悩 ネット販売はこれから必須でも拭えぬ矛盾

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スマートフォンで「ヴェゼル」のグレードやボディカラーを選択するイメージ画像(写真:本田技研工業)

2021年10月、ホンダがオンラインストア「Honda ON」をオープンした。

この発表を受けて「ホンダがオンライン販売を開始」という趣旨の報道も増えたが、実際はオンラインによる「販売」ではない。オンラインで契約できる対象は、サブスクリプション(定額制)による「カーリース」に限られるからだ。

最近はトヨタの「KINTO」をはじめとしてカーリースが増えた。ホンダでも2021年5月から、新車のカーリース「楽まる(楽らくまるごとプラン)」の取り扱いを開始している。このサービスをベースに、スマートフォンを使ったオンラインによる商談と契約を組み合わせたのが「Honda ON」だ。

「Honda ON」のロゴデザイン(写真:本田技研工業)

つまり「Honda ON」は「楽まる」をオンライン化したサービスと考えればよい。契約期間中の乗り替えが可能なことも含めて、「Honda ON」と「楽まる」の内容は似ている。

その一方で「Honda ON」と「楽まる」では、カーリースの運営方法が大幅に違う。「楽まる」は現金購入や残価設定ローンと同様、ユーザーが販売店で契約するが、「Honda ON」ではホンダセールスオペレーションジャパンが契約相手となるのだ。

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ホンダセールスオペレーションジャパンが、メーカー(ホンダ)から車両を仕入れてユーザーに供給するので、「楽まる」と違って販売店は契約までは関係しない。ユーザーとホンダセールスオペレーションジャパンが、オンラインにより連絡を取り合いながら契約に至る。

ただし、ホンダセールスオペレーションジャパンの店舗はないから、購入後の点検整備や修理、リコール対応などは、ユーザーが選んだ販売店で受けることになる。「Honda ON」のサービスは今のところ東京都のみで、対象店舗は86店舗だ。

契約後は店舗に出向く必要がある矛盾

興味深いのは納車方法で、「Honda ON」ではユーザーの申し込みや自動車保険の手続きをオンライン(一部郵送を含む)で進めながら、最後はユーザーが販売店まで車両を取りに行く形となる。

オンラインストアを徹底させるなら、スタッフがユーザーの自宅までクルマを届ければ完結するが、実際はそうならず最終段階で矛盾が生じているといえる。

なぜ、納車のためにユーザーが販売店まで出向く必要があるのか。その理由をホンダセールスオペレーションジャパンに尋ねると、以下のような返答を得た。

「お客様に店舗の様子を知っていただき、担当スタッフとも面会した上で納車していただきたいから、店舗まで来ていただく」

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