名ばかりのオンライン販売を始めたホンダの苦悩 ネット販売はこれから必須でも拭えぬ矛盾

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これは、ホンダセールスオペレーションジャパンが、クルマのオンライン契約の限界と難しさを自ら認めたことを意味するものだ。カーリースの契約、あるいは仮にクルマの販売までがオンラインで可能になっても、その後のメンテナンスなどで販売店が必要になるからである。

クルマは2万~3万点の部品で成り立つ複雑なツールで、移動の手段だから屋外で使われる。故障が発生すれば、乗員や周囲の人たちの生命を脅かす心配もある。想定外のトラブルが生じる可能性も否定できず、ユーザーとの距離が近い販売店の果たす役割は大きい。

ホンダでは2020年から「Honda Dealer Concept 2.0」とする新デザイン店舗を展開している(写真:本田技研工業)

クルマをオンラインで売買するには現状、署名や捺印が必要だが、Zoomのようなカメラ機能を備えたパソコン会議ソフトと郵便を使えば、販売店に出かけず契約することも不可能ではない。それなのに最終的に販売店に出かける理由は、いわば“安心感”にある。

「Honda ON」も最終的に販売店へ車両を取りに出かける方法を採用することで、ユーザーと販売店がコミュニケーションを図れるように配慮した。また日本車の販売店の多くは、車検業務を行える指定工場も併設しているから、車両に不具合が生じたとき即座に対応することが可能となる。

「残価設定ローン」との違いは何か?

定額制のカーリースに似たサービスとして「残価設定ローン」もある。これは、数年後の残価(残存価値)を契約時に設定して、残価を除いた価値の減る金額をローンで返済するものだ。

仮に5年後の残価が35%なら、残りの65%をローンで返済する。契約期間が満了した5年後に、車両のキズや走行距離が規定の範囲に収まっていれば、そのまま車両を返却できる。カーリースに近い性格を備える自動車ローンだ。

残価設定ローンとカーリースで異なるのは、主に税金、自賠責保険料、点検整備費用の取り扱いだ。残価設定ローンはローンの一種だから、これらの費用はユーザーが別途支払う。カーリースはローンではなく車両を貸与するサービスだから、契約形態により異なる部分もあるが、税金や点検整備費も料金に含まれるのが一般的だ。

そこで「Honda ON」「楽まる」「残価設定ローン」の出費を比べてみたい。「フィットe:HEV」の「HOME」グレードをモデルケースにしてみよう。

次ページ5年間での差額:36万4000円
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