名ばかりのオンライン販売を始めたホンダの苦悩 ネット販売はこれから必須でも拭えぬ矛盾

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フィットの5年間の支払い総額は前述の約264万円だから、ヤリスの275万2200円に近いが、「Honda ON」と「楽まる」は任意保険料に加入していない。そうなると誰でも使える任意保険を付帯したKINTOのヤリスのほうが割安だ。

このように定額制のリースは、任意保険に加入しているか否かで、損得勘定が大きく変わるので注意したい。

オンラインに話を戻すと、こうしたシステムが今まで存在しなかった理由は、「Honda ON」のように販売店に出向く必要をなくせないからだ。結局、販売店に出かけることになるなら、あえてオンラインで契約する必要もないと考えられていた。

では、なぜ今になってオンラインをスタートさせたのか。背景には2つの理由がある。まずは「若年層への対応」だ。

「ネットにない=存在しないも同然」

今の若年層は、インターネットを使っての情報収集や通信販売を当たり前のように利用する。ネットから漏れていると、世の中に存在しないのと同じことになってしまう。

2つ目の理由は、コロナ禍の影響だ。外出を控えて自宅で過ごす時間が長くなり、オンラインへの依存度も高まった。販売店に出かけず、オンラインで商談や契約できる手段が求められている。

若年層への対応は、「KINTO」がテレビCMも含めて積極的に行っている。この年齢層は、定額制の携帯電話を使い慣れており、「商品を購入して所有する」というより、「毎月お金を支払って使用する」感覚が強い。

以前なら「総額150万円までならクルマを買える」と考えたが、今は「月々4万5000円までなら支払える」と考え方が変わった。

「KINTO」ではKINTO限定の特別仕様車も用意している(写真:トヨタ自動車)

「月々いくら」という考え方のほうがわかりやすいなら、定額制のカーリースは馴染みやすい。また「KINTO」では、若年層で高騰しやすい任意保険料も月々の料金に含んでいるから、お得感も強い。「Honda ON」と同様、オンライン商談も可能で販売店に出向いて車両を受け取る。

つまり、「Honda ON」はすでに認知度を高めつつある「KINTO」への対抗策ともいえるわけだ。ホンダの販売店に「Honda ON」のメリットを尋ねると、以下のように返答された。

「クルマの販売店へ出かけるのに抵抗を感じるお客様は、意外に多い。ホンダ以外のクルマに乗っていたら、ホンダの店舗に出かけたことはないだろう。また、多忙で販売店に行く時間を取れない人もいる。販売店に出かけにくいお客様にとって、Honda ONはメリットの多いサービスになる」

しかし、メリットがあれば、当然デメリットもある。

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