米英豪の同盟「AUKUS」は核拡散を刺激するだけだ

対中同盟を再編する試みは成功するのか

2021年9月16日、「AUKUS(オーカス)」を発表するジョンソン英首相(左)、モリソン豪首相(中央)、バイデン米大統領(写真・EPA=時事)

アメリカのバイデン政権は、中国への圧力一辺倒政策を修正し、対話の推進と同盟再編による対中包囲網強化という「両にらみ」政策へと転換した。同盟再編で注目されるのはアメリカ、イギリス、オーストラリアのアングロサクソン系3国による新安保枠組み「オーカス」(AUKUS)。オーストラリアへの原子力潜水艦技術の供与は、核拡散を刺激する危険をはらむ。「20世紀の遺物」である同盟の再編は、地域の緊張と軍拡競争を煽るだけに多くの国の支持は得られそうにない。 

米中関係をめぐって2021年9月は多様な外交が展開された。主な動きを挙げれば、▽米中首脳が電話会談(10日)、▽「オーカス」創設(15日)、▽中国が環太平洋経済連携協定(TPP)加盟を申請(16日)、台湾も加盟申請(22日)、▽「QUAD(クアッド)」が初の対面首脳会議を開催(24日)などである。

対話と包囲の「両にらみ」に転換

バイデン政権の対中政策の軌道修正を象徴するのが、米中の電話首脳会談だった。バイデンの求めで7カ月ぶりに開かれ「競争を衝突に発展させないための方策を話し合った」(ホワイトハウス発表)。会談では、カナダで2021年9月末に解放された華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長の身柄問題も取り上げられ、関係改善へ向けた米政権の本気度をうかがわせた。

これを受けアメリカのサリバン大統領補佐官は10月6日、中国外交トップの楊潔篪・共産党政治局員とスイスで会談し、年内に米中首脳会談をオンラインで開くことで合意した。

これが「対話路線」の流れだが、対話は決して「単線」ではない。バイデンは対話と並んで、同盟の再構築を急ぎ、対話と包囲の「両にらみ」に転換した。「オーカス」創設と、アメリカ、日本、オーストラリア、インドの「クワッド」は、広域的で重層的な同盟の「新枠組み」である。

「クワッド」は、対中同盟の形成に消極的なインドが参加しているため、サプライチェーン(部品供給網)の囲い込みなど、「経済安保」やサイバー攻撃対策に重心を置く。一方、「オーカス」は、オーストラリアに原子力潜水艦技術を供与するのを目的にした軍事同盟だ。オーストラリアはフランスとの間で通常動力の潜水艦12隻の建造契約を結んでいたが、「オーカス」創設に伴い契約を一方的に破棄した。

新たな同盟構築のために、古くからの同盟関係を犠牲にしたのだ。それはフランスとの関係悪化に勝る利益をアメリカにもたらすと判断したからに他ならない。その狙いをまとめよう。

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