豪雨被災から10年、復旧すすむ只見線不通区間 3つの鉄橋が流されたが、2022年に運転再開へ

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只見線は利用が著しく減少した路線だが、新体制による再度の全通に向けて、地元やJRによる利用促進の取り組みも進められている。その主な内容を挙げると観光路線としてのPRが筆頭であり、地域間の相互交流、自治体職員の通勤利用促進、学校利用の呼び掛け等がなされている。深い峡谷を走る様子は四季折々に絶景となり、自動車の利用層ではない海外観光客にはかけがえのない旅行手段となる。現下の状況に海外旅行者の姿は消えてしまったが、今後の回復が心待ちにされるところだ。

折しも今年は、1971年8月29日に新潟県の大白川と福島県只見の間が結ばれ全通してから50周年となる。開通記念の当日には、通常は新潟―酒田間を運行している観光列車の「海里」を使用した団体臨時列車が新潟―只見間に運行された。また、各駅には50周年記念の幟が用意されたり、主要駅では記念入場券の販売も行われたりしたが、注目度が高かった模様で入場券はすでに完売している。

列車を運休して設備強化工事実施中

また、県や沿線自治体による協議会では、只見線の鉄橋やトンネル等について土木遺産認定に向けた取り組みを進めてきた結果、今年9月17日に土木学会から「只見線鉄道施設群」として選奨土木遺産の認定を受けた。

『鉄道ジャーナル』2021年12月号(10月21日発売)。特集は「乗り換えの壁」(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

大正期の最初の開通から1971年の全通時まで、幅広い時代それぞれの技術が集積し「福島新潟両県の地域資源の活用や豪雪地帯を結ぶライフラインとして機能美や四季の風景を創生する貴重な遺産群」と評され、第一只見川橋梁、第二只見川橋梁、六十里越トンネル等17施設が該当する。

一方、災害復旧とは別に、線路設備を強化する工事が区間ごとに進められている。この9~10月には計32日間、大白川―只見間でトンネルの健全性を確保する設備強化工事が平日日中1往復の列車を運休して行われた。また、11月15日からは月内いっぱいの平日、計12日間、会津坂下―会津川口間でコンクリート枕木に交換する作業が行われる。このためやはり、実施日の日中は上下各1本の列車が同区間で運休となる。これらの代行輸送は行われないので、現地の様子を見ようと列車と代行バスの乗り継ぎ旅行を計画されている方は、注意されたい。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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