「ロングヒットする医療ドラマ」意外すぎる共通点 なぜ事務方は「小悪党」として描かれるのか?
そんな医療ドラマの中の“悪ボスキャラ”は、前述のとおり、院長・教授・直属の部長というおエラ方が多いですが、その側近として仕えている事務長をはじめとする事務方たちは、“ボスキャラ”以上にウザい小悪党として登場するのも定番。
例えば、『DOCTOR X』に登場してきた歴代の事務長はというと……第1シリーズでは寺山金子(室井滋)、第2期では烏丸金男(笹野高史)、第3期は加藤峰司(渡辺いっけい)、第4期では事務長ではなく、南幾子・広報部長(草刈民代)が側近。第5期ではソンタ君というロボットの側近(声は岩崎ひろし)が登場(笑)。
第6期は鮫島有(武田真治)が登場し、事務長ポストが復活。放送中の第7期では、三国蝶子(杉田かおる)という広報部長が側近として登場。いずれの方も、チョイ悪な一面を存分に発揮されていたのを、ご記憶の方も少なくないでしょう。草刈民代を除くと、絶妙なまでに、いかにも小悪党が似合いそうな役者が揃っていますしね。また第1、2期では、役名に「金」の字が入っていたのも暗示的です。
こうした『DOCTOR X』の事務長たちほど、悪事を働いていたワケではありませんが、『ナースのお仕事』、『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命』(2008、2009、2017年/フジテレビ系)、『チーム・バチスタ』シリーズ(2008、2010、2011、2014年/フジテレビ系)など医療ドラマの人気シリーズ作品には、ほとんどの場合、嫌みな性格の事務長が登場し、小悪党ぶりを発揮。そういえば、前述の渡辺いっけいは、『神様のカルテ』(2021年/テレビ東京系)でも、嫌みな事務長を演じていましたっけ。
医療ドラマの事務方は「越後屋」のようなもの
医療ドラマにおける“事務方”は、前述の如く、院長や教授たちが押し進める利潤追求や合理化策などの手先として登場するため、“患者ファースト”の主人公の考えとは相容れず、小悪党として描かれがち。いわば、時代劇に於ける「越後屋」「三河屋」みたいな立ち位置なんですね、きっと。
しかし最近では、『病院の治しかた~ドクター有原の挑戦』(2020年/テレビ東京系)の倉嶋亮介(高嶋政伸)や、『DOCTORS~最強の名医』(2011、2013、2015年/テレビ朝日系)の桃井正一(小野武彦)のような、患者や病院のためを思う事務長も散見されるようになっています。これまでさんざん事務長を悪者扱いしてきた罪滅ぼし、というわけではないでしょうが(苦笑)。
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