カローラクロス対キックス、ハイブリッドSUV比較 トヨタSUVランナップ拡充、日産は対抗できるか

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カローラクロスのハイブリッドシステム(写真:トヨタ自動車)

両車は、採用するハイブリッドシステムにも違いがある。カローラクロスは、1.8L・直列4気筒エンジンにモーターを組み合わせたパラレル・シリーズハイブリッドという方式を採用する。発進時や低速走行時などはエンジンを停止し、電気モーターのみで走行。車速が上昇して通常走行する際は、主にエンジンで駆動する。急加速時などアクセルを強く踏み込んだときや高速道路などを走行する際は、モーターの動力が必要に応じてエンジンをアシストする仕組みだ。

キックスのパワートレイン(写真:日産自動車)

一方、キックスのe-POWERは、シリーズハイブリッドという方式だ。エンジンは発電用としてしか使わず、走行はあくまで駆動用モーターで行う点がカローラクロスとの大きな相違点だ。また、一番の特徴は、アクセルペダルの踏み戻しで車速を調整できる「e-POWERドライブ」を採用している点だろう。キックスは、「ノーマル」「エコ」「S(スマート)」といった3つの走行モードを選択できる。

ワンペダル操作という点ではキックスが有利

キックスの走行イメージ(写真:日産自動車)

そのうち、燃費重視の「エコ」、または燃費と加速感を両立した「S(スマート)」のいずれかで走行中に、アクセルペダルを戻すと強い減速を行い、ブレーキペダルを踏まなくてもほぼ停車状態にまで車速を落とせる。いわゆる「ワンペダル操作」と呼ばれるもので、渋滞時やカーブの多い道路など頻繁に加減速が必要なシーンで、アクセルペダルのみで車速を調整できる機能だ。アクセルとブレーキのペダルを踏み替える回数が減ることで、ドライバーの疲労などを軽減する。

トヨタでは、2021年7月に発売したコンパクトカーの新型「アクア」に、似たような機能の「快感ペダル」を採用している。たが、カローラクロスには未導入だ。ワンペダル操作は、キックスだけでなく、ノートやセレナなどに採用するe-POWERの大きなメリットのひとつといえる。ある程度慣れは必要だが、慣れてしまえば非常に便利な機能だ。ブレーキペダルを踏み続けなくても停車状態を維持する「オートブレーキホールド」機構と組み合わせれば、とくに渋滞路や信号待ちなどで大きな効果を発揮する。渋滞時などで快適に運転ができるという点では、キックスのほうが上だろう。

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