カフェイン発見に貢献した「ある文豪」の正体 人類を虜にする成分はいつ発見されたのか?
カフェインを合成したり除去したりする技術が発達したことで、カフェインは広く利用されるようになりました。カフェインの覚醒作用は仕事や勉強と相性がよく、エナジードリンクや栄養ドリンクなどの成分として使用されるようになりました。
1987年には、今も広く飲まれているエナジードリンク、レッドブルが発売されています。また、血管を収縮させる作用が評価され、慢性の心臓疾患や狭心症の治療にも用いられました。
一方でカフェインの覚醒作用は、どこでも歓迎されたわけではありません。アスリートの世界では、運動能力を向上させる効果があるとして、2004年までの一時期、オリンピックで禁止薬物となりました。また、人によっては興奮作用によって体調が悪くなってしまったり、眠れなくなったりすることもあり、カフェインを含まないコーヒーも好まれるようになりました。
良いか悪いかは人が意味づけするもの
カフェイン自体は茶葉の中、コーヒー豆の中に昔からあったものです。しかし、ルンゲによって発見されて以来、人間社会で注目を集めることになりました。すると、覚醒作用によって仕事や運動に役立つものとされたり、「体調が悪くなる」と敬遠されたりするようになります。歴史が進むにつれ、人にとって良いものか悪いものかという意味付けがなされました。
単なるコーヒーの一部だったものが、人と多様な関係を結ぶようになってきたのです。
カフェインのように、人の社会で注目されるようになったことで、良いもの悪いものというイメージがついたものは、他にもあります。
放射線もその一つです。放射線は人類が地球に現れる前から存在していました。しかし、健康や環境に大きな影響を与えてきた歴史から、社会の中で「放射線」という言葉は重い意味をもっています。
自然界に当たり前に存在しているものでも、人の社会の中での意味は、その物質が人に与えてきた影響によって変わってくるのかもしれません。
カフェインはゲーテの依頼がきっかけで、19世紀に単一の成分として使えるようになった。覚醒作用などの効果によって、仕事や運動に利用されたり、反対に遠ざけられたり、人と多様な関係をもっている。
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