「オンライン授業の高すぎた壁」現場の悲痛な叫び コロナ禍で露呈「GIGAスクール構想」が不安な訳

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東洋経済新報社が全国の小中高校教員を対象に2020年5月と同12月に実施したアンケート調査(オンライン授業の経験)では、コロナ休校中だった5月と学校再開後の12月で現場の意識が変わっている。

「オンライン授業をしたことがあるが、現在はしていない」という回答が5月の5.7%から12月は14.5%と3倍近くなり、オンライン授業をはじめても継続されない状況が浮かび上がる。また、オンライン授業をしたことがない理由として「必要と感じていない」と回答したのは、5月の12.9%から12月には26%と倍増した。

12月のアンケート調査では教員個人のPCスキルを尋ねている。「PCのオフィスソフト(Word, Excel, PowerPoint)の使用」では、86.3%が「扱える」と答えたが、「メールやチャットの使用」は60.2%、さらに「Zoom, Microsoft Teamsなどのオンライン授業やミーティングをWeb上で行うことができるアプリの使用」では43.2%の教員しか使えない。

オンラインよりも対面で

さらに現在では、学校の設備や人材の有無とは別の問題が起きている。公立小学校に勤務する教師(33歳)はこう話す。

『スマホ危機 親子の克服術』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「ウチの小学校では2020年度末に、全児童にタブレットを配布しました。オンライン化を進めるために学校の設備も拡充し、教員もさまざまな研修を受けたんです。今後は万全だと安心したのですが、保護者からは『オンライン授業より、学校で通常の対面授業をしてほしい』という要望がすごく多くなっています」

小学生が在宅でオンライン学習をする場合、特に低学年では保護者の見守りや協力が必要になる。ところが保護者からは「自分は仕事で外出しなくてはならない」、「テレワークをしているので、子どもが家にいるとうるさくて困る」、「家に乳幼児がいて、小学生の子どもの面倒まで見られない」、そんな声が噴出しているという。

保護者にすれば、「子どもは学校で見てほしい」のが本音だろう。タブレットなどのデジタル端末があっても、オンライン授業ができる環境が整っても、GIGAスクール構想が本当に子どもや家庭の現実にマッチするものなのか、先行きの不透明感は拭えない。

石川 結貴 ジャーナリスト

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いしかわ ゆうき / Yuki ishikawa

家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに多数の話題作を発表している。『スマホ危機 親子の克服術』(文春新書)、『スマホ廃人』(同)では、スマホやネットがもたらす数々の社会現象を追い、利便性の背後にある問題を提起。児童虐待や貧困状況に置かれたまま放置される子どもの実態に迫った『ルポ 居所不明児童~消えた子どもたち』(ちくま新書)は、大きな反響を呼んだ。出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各地での講演会など幅広く活動する。 日本文藝家協会会員。

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