「学校に行かなくていい」両親が毅然と決めた瞬間 夫婦連れだって学校訪問して見えたこと

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息子にどう接したらよいのか、私はわからなくなっていたので、いろんな人に聞きました。そのなかでうちの町内に不登校の子をもつ親が2人もいらっしゃって。その方に「どうしたらいいかわからないので教えてください」と声をかけました。そうしたら、不登校の子どもを持つお母さんたちでお話をしよう、ということになって、数人の方が集まって、経験談を教えてくださいました。

同じ体験をした先輩お母さんたちの話は、どんな本よりも役に立ちました。とくに「これがよかった」という話ではなく、「これだけは言わないほうがいい」「こういうことはしちゃダメ」といった失敗からくる教訓のほうが参考になりました。

先輩お母さんが私の心の支えに

当時、私にとって何が一番つらかったかというと、それは「自分の子育てが悪かったんじゃないか」という思いでした。しかしそんなふうに悩んでいるときにも、先輩のお母さんたちに「子育てというのはみんな初めてなんだから、子育てに一生懸命な時点で、失敗したとかまちがえたとかはないんだよ」と言われたのが今も心に残っています。

私がじょじょにラクになっていく一方で、息子のほうは、自分はダメな人間じゃないかって、ドーンと落ち込んでいたみたいです。「僕なんか生きていてもしょうがない」「学校にも行けない、みんなと同じことができない、ダメな人間だ」と言い出したので、これはヤバいなと感じました。

私は先輩お母さんたちのアドバイスを参考に、息子の小さいころのアルバムをいっしょに見ながら、「このときのいちご狩り、楽しかったね」「これ、お習字の先生にほめられた、そのときの作品だよね」とか、そういう思い出を話しました。「すごく楽しかったね」と。あなたがどれだけみんなから愛されてたか、この家のなかでどれだけ必要な存在かということをたくさん伝えました。

――心が沈んだときにそんな対応をしてもらえらすごくうれしいですね。ほかにも先輩お母さんからのアドバイスを受けたことによる気づきはありましたか?

息子のよさに気づけるようになりました。あるとき、息子とゲームの話をしていて、ゲームの攻略本を見せてもらったんです。あれってすごく細かく書かれていますよね。私は見ても何がなんだかわからなかったです。

あれを読んで、自分のゲームを攻略するために必要な箇所を読み取れるってすごいな、この子には自分に必要な情報をちゃんと見つけるだけの力があるんだな、と思いました。私の持っていない能力をいっぱい持っているんだなと。そうしたら、「大丈夫だ。生きていける」と思ったんです。

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