「新規感染者主義からの脱却」こそ岸田政権のカギ 経済活動の正常化後、「再分配」を中長期目標に

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緊急事態宣言の乱発により実体経済のスイッチのオン・オフを頻繁に切り替えるようなコストの大きい政策は家計・企業部門における予測可能性を著しく低下させ、消費・投資意欲を抑制する。実際、貯蓄・投資(IS)バランスを見れば、家計・企業部門における貯蓄過剰は年初来から蓄積傾向にある。日本はもともとそうした傾向が成長率や物価を抑制している経済構造だと指摘されて久しいが、過去1年でその傷はさらに深まった。

まずは経済を正常化して再分配に着手へ

岸田4本柱の着実な遂行を経て、「新規感染者主義からの脱却」を図ることができれば、高いワクチン接種率も相まって、岸田政権下の経済正常化は順調に進み、コロナ対策自体も高い支持を得るのではないか。行動制限一本ヤリの戦略から距離を置き、短期的にはより成長を重視する姿勢を前面に押し出しておけば、中長期的には「やりたいこと」である再分配政策にも着手しやすくなる。

少なくとも再分配や新自由主義からの脱却など、是非はさておき、初っぱなから株式市場を敵に回すような情報発信は控え、まずは「新規感染者主義からの脱却」を前面に押し出したほうが後々の政策運営がやりやすくなるように思う。
 

唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

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からかま・だいすけ / Daisuke Karakama

2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中。

※東洋経済オンラインのコラムはあくまでも筆者の見解であり、所属組織とは無関係です。

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