「新規感染者主義からの脱却」こそ岸田政権のカギ 経済活動の正常化後、「再分配」を中長期目標に

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戦略の失敗は戦術では取り返せない。いくら「世界最速のワクチン接種率」という現状考えうる最高の戦術をとっても、「人流が元凶なので行動規制強化」というこれまでまったく奏功していない戦略に固執し、出口に向けたロードマップを検討しないのなら、成長率や物価の復元は絶望的である。英国は2月、米国は3月の時点でロードマップを描いていた。ここまでワクチン接種率が高まっても日本で同じことはできないのだろうか。

かかる経緯を踏まえ、岸田政権の初動においてはコロナ対策に関して「政府と分科会の距離感」をいかに修正してくるのかを注目したい。その修正いかんによっては、コロナ対策が従前のものから良い方向に旋回していると評価され、株式市場を筆頭に世界の投資家、金融市場から好意的な評価を得られる可能性がある。

分科会が従前の方法論に固執せずに医療資源の拡張に本腰を入れ、行動制限を脇に置いたうえで出口戦略まで描けるようになれば、望ましい。

期待したい「岸田4本柱」

では、岸田政権のコロナ対策は実際どうなりそうなのか。

岸田総理はコロナ対策に関し「岸田4本柱」を打ち出している。これは①医療難民ゼロ、②ステイホーム可能な経済対策、③電子ワクチン接種証明(ワクチンパスポート)活用および検査の無料化拡充、④感染症有事対応の抜本的強化である。

これに付随して健康危機管理庁の設置も主張され、大型の臨時医療施設の開設の話も出ている。結局、行動規制の必要性は医療逼迫を招く病床不足に起因している。だとすれば、臨時医療施設の開設は直接的かつ有効なアプローチである。そのうえ、ワクチンパスポートを活用し行動制限一本ヤリの防疫政策から抜け出せるとしたら、「日本だけコロナが終わらない」という閉塞状況にも終止符が打てる期待がある。

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