4位は損保大手の東京海上ホールディングス(92.7点)。同社は年数回の面談に加えて、行動や思考特性に基づいたコンピテンシー評価を実施するなど、多面的な人材評価・育成を行っている。また、社員の社会課題解決への取り組みに対する社内表彰「東京海上グループサステナビリティ CEO賞」を実施するといった、社会課題解決への意識醸成にも取り組む。
5位はサントリーホールディングス(92.2点)だ。同社は定年を65歳に延長したほか、45歳以降に転職・起業した社員を再雇用する「カムバック制度」を導入して社員のチャレンジを支援している(転職後3年以内、1回限りが条件)。また、管理職引退後のベテラン社員を若手社員のカウンセリング担当とするなど、ノウハウの継承にも取り組む。
そのほか、6位に富士フイルムホールディングス(91.4点)、7位にSCSK(91.0点)、8位にNEC(90.4点)、9位に三菱UFJフィナンシャル・グループ(90.0点)、10位にリコー(89.4点)がランクインした。
コロナ禍以前から取り組んできた企業などが選出
最後に、本ランキングの評価を基に審査された第3回「プラチナキャリア・アワード(企画:三菱総合研究所未来共創イニシアティブ、三菱UFJ信託銀行)」の受賞企業から特徴的な取り組みを紹介しよう(最優秀賞:アイシン 優秀賞:サントリーホールディングス、T&Dホールディングス、NEC 特別賞:エーザイ、エスプール 東洋経済賞:アズビル)。
優秀賞のNECは適時・適所・適材の人材配置の実現を目的として新会社「NECライフキャリア」を設立。キャリア支援プログラムの拡充やAIを活用したジョブマッチングの導入などを進めている。
特別賞のエーザイは、社内インターンシップ制度や兼業・副業制度を導入するほか、社員の自己啓発や社会貢献活動に対して年5日の特別有給休暇を付与するなど、社員の自律的なキャリア形成への支援が手厚い。
同じく特別賞のエスプールは、社員の独立を金銭や業務契約によって支援する制度を設ける。一方で、転職・独立・結婚・出産などの理由で退職した社員の再雇用制度(ブーメラン制度)も導入している。東洋経済賞のアズビルは、手挙げ制度や社内公募によって社員の異動希望を実現してきた。同社は「2030年に成長を実感する社員の比率を65%以上」という数値目標を掲げている。
コロナ禍が長期化する中、柔軟な働き方やキャリアの多様化への対応力が、企業には求められている。その点、今回紹介した企業は、コロナ禍以前から社員のキャリアを考えた制度設計や環境整備に取り組んでいる好事例といえる。
テレワークなどの「新しい働き方」は社会に浸透しつつある。今後は、こうした「新しい働き方」が、一時的な「危機対応」からコロナ後の成長を見据えた「制度」として定着するかが注目される。
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