わざわざ定期買いたい、JR西「お得切符」の破壊力 最安区間を購入して1000円で関西近郊乗り放題

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いくつか具体的な使用例を考えて計算してみると、驚くほど安くなることがわかる。

友達3人でUSJへ (ユニバーサルシティまでの往復)
<前記の方法で乗り放題きっぷを使った場合:1人1660円>
・敦賀から:通常1人往復5280円 (3620円安い)
・米原から:3960円(2300円安い)
・姫路から:3380円(1720円安い)
・五条から:2680円(1020円安い)
・和歌山から:2540円(880円安い)

2人で利用する場合もかなり安く上がる。

カップルで京都観光!(嵯峨嵐山までの往復)
<前記の方法で乗り放題きっぷを使った場合:1人1990円>
・姫路から:通常1人往復5280円(3290円安い)
・和歌山から:4620円(2630円安い)
・敦賀から:3960円(1970円安い)
・日根野から:3380円(1390円安い)
・長浜から:3040円(1050円安い)

お1人様でも大阪を跨ぐお出かけや、2カ所以上を回るならお得だ。下記の区間をすべて実質2980円で利用できる。

・三ノ宮―米原間往復:通常5280円(2300円安い)
・姫路―奈良間往復:通常4620円(1640円安い)
・明石―和歌山間往復:通常4400円(1420円安い)
・大阪→嵯峨嵐山→和歌山→大阪:4570円(1590円安い)
・姫路→京都→奈良→姫路:5340円(2360円安い)

そして、やる人はそうそういないだろうとは思うが、最もお得なケースは利用可能圏内を縦断、つまり敦賀―播州赤穂間を往復するケースだろう。通常1人往復で9020円かかるので、3人組なら1人7360円も安くなる。2人組なら1人7030円、1人でも6040円もお得である。

エリア外へも組み合わせで安く

乗り放題きっぷは関西圏のみで範囲の西端は上郡・播州赤穂だが、ほかの格安切符を合わせて使えば岡山まで安く行くことも可能だ。

乗り放題きっぷで相生まで行き、近距離格安新幹線チケット「近トク1・2・3」の相生―岡山間(1500円)を組み合わせれば、大阪―岡山間は通常なら乗車券だけでも片道3080円のところ、実質片道2330円と750円も安くなる。これは3人で利用した場合の1人当たりの金額だが、2人でも実質片道2495円(585円安い)、1人でも実質片道2990円(90円安い)。しかも1駅だけではあるが新幹線が使える。相生―岡山間は在来線の本数が少ない区間のため、新幹線に乗れるのは便利だ。

関西は関東に比べて新快速など高速の列車が頻繁に走り、接続もよく無駄な待ち時間が少ないので、その日のうちに多くの街を回ることができる。そのため、いつの間にかICカードの残高がものすごい勢いで減っていることに気づくことがある。

そんなJR西日本のアーバンネットワークだからこそ、こういったフリー切符はさまざまな条件があってもありがたい。うまい利用方法を考えて、ぜひとも有効活用したいものだ。

北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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