ホンダ「非クルマ分野」の電動化が遅れている訳 世界シェアNO.1を誇る「汎用エンジン」の行方

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「電動製品はこれまで得意としてきたものでないので、どうしても予定通りにいかずに、遅れてしまいました。実は電動芝刈り機も、日本の1年前にヨーロッパで発表しています。ヨーロッパの競合はかなり電動化が進んでいて、それで電動製品を出したというのが本音です。もちろん、ゆくゆくは電動化を……と考えていますが、現状では、まずお客様のニーズになるべく早く対応することが先決です」

特にヨーロッパでは電動化のニーズが高まっているというが、ホンダだって大きく遅れているわけではない。中島氏も「少し遅れているぐらい」と言っている。

「今回の『eGX』 は、もっともポピュラーな排気量に対応するものです。とはいえ、従来のエンジンから電動パワーユニットに載せかえるには、それなりの労力とコストがかかります。本当に電動化商品を出して、マーケットで普及するのかという検証も、今回の『eGX』の大きな役割だと思っています」

電動パワーユニット「eGX」のセパレート型(写真:本田技研工業)

電動化のニーズはたしかにあるけれど、それが現状をひっくり返すほどのものかどうかは不明だということだ。ここが汎用エンジンの難しいところだろう。ホンダが作って、そのすべてをホンダがユーザーに直接届けるのであれば、まだわかりやすい。

しかし、ホンダの汎用エンジンの多くはOEM供給されており、その供給先が別の商品を作って売っている。ユーザーまでの間に、ワンクッション入るのだ。それに、そうしたOEM先がホンダと同様の熱量でカーボンニュートラルに向かうかどうかは、はなはだ疑問である。

OEMだからこその進め方がある

「世の中はカーボンニュートラルの方向に進んでいますが、ホンダのライフクリエーション事業の位置づけから考えると、OEM供給先の企業さんにカーボンニュートラルの裾野を広げていただく形となりますから、お客様のニーズに応えながら進めてゆくのが私たちの使命です。ですから、マーケットの電動化を求める声が高まったときに、後れを取らないような体制にしなければまずいと認識しています」

市場の電動化のニーズに対応できる準備を行う。カーボンニュートラルに向かうホンダの4輪部門と比べると、消極的とも受け取れる。しかし、あくまでも汎用エンジンであり、途中にOEM先という別会社があっては、こうした受け身的な姿勢も仕方ない。そういう意味で、ホンダの汎用エンジンの電動化の歩みは、地に足の着いたゆっくりとしたものになることだろう。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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