GR86/ロードスター FRスポーツ買うならどっち 王道スポーツのトヨタ、上質オープンのマツダ

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GR86のリヤビュー(写真:トヨタ自動車)

ちなみにGR86の車体は、「軽量コンパクトかつ低重心なエンジン」という従来型の特徴を継承しつつ、全高ならびにヒップポイントを低く抑えることで、更なる低重心化と回頭性の向上を実現している。また、ねじり剛性を従来型比約50%向上することで、操縦安定性能を高めるなどの改善がなされている。

ロードスターのリヤビュー(写真:マツダ)

対するロードスターでは、アルミや高張力鋼板、超高張力鋼板の使用比率を3代目モデルの58%から71%に高めるなどで、100kg以上の軽量化に寄与している。また、前後重量配分をスポーツカーで最適とされる「50:50」にすることで、軽快なハンドリングも実現する。

かつてスポーツカーは、速いクルマを作ろうとすればするほど、ドライバーにとっては扱いにくさや一定の技量を要求された。一方で、両車のこうしたクルマ作りは、方法論こそ違うが、誰が乗っても「楽しめる」スポーツカーを目指している点では同じだ。そうした同様のコンセプトが、これら2モデルに多くの根強いファン層がいることへ繫がっている。

モータースポーツからのフィードバック

GR86のリヤビュー

GR86の外装は、モータースポーツからフィードバックされた、数々の空力アイテムも注目だ。例えば、車体側面を流れる空気を整流する「サイドシルスポイラー」。内側に流れ込む空気を排出することで乱流を防ぐフロントフェンダーなどの「エアアウトレット」。トランクフードには、整流した空気の流れで車を路面に押しつける「ダックテール」も装備する。

また、オプションには、エアロや大径ブレーキキット、サスペンションやマフラーなど、さまざまな機能向上パーツも用意されている。GR86のティザーサイトを見ると、有名アフターパーツメーカーが手掛けた商品が目白押しだ。トヨタ傘下のTRDをはじめ、HKS、クスコ、サード、トムス、トラスト、ブリッツといった各社が手掛けるパーツ群は、いずれもモータースポーツでのノウハウが注入され、性能アップに大きく貢献することで知られている。

しかも、こういったパーツ群は、ハンドリングや走行安定性などに貢献するだけではない。先代モデルからスタートさせたワンメイク競技、「86/BRZレース」に参戦するレーシングマシンを彷彿とさせる。スポーツカーは、近年、オーナーの年齢層が高いといわれる。だが、従来型86の場合は、特にサーキットのスポーツ走行などに参加するユーザーには、20代などの若い層も多く見られた。86は意外にもユーザーの年齢層が幅広いのだ。加えて、モータースポーツをイメージし、愛車をスポーティにカスタマイズする層も多い。GR86は、「サーキットを走る姿が思い浮ぶ」ような外装やオプションパーツを用意することで、そうしたスポーツカー愛好家の心を揺さぶる演出も施している。

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