日本に多い「意見の違う相手を攻撃する人」の特徴 いつから私達は他者を思いやれなくなったのか

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年齢がバラバラだと、一緒に遊ぶ中でいろいろと工夫をします。小学校低学年の小さい子たちと遊ぶときは、大きい子たちにはハンディをつけたり、独自のルールを設けたりしました。自分たちで新しい遊びを考えたりするのも、楽しい試みでした。

子どもはいろいろなタイプの子と遊ぶことによって学びを得て、精神的に成長していくものです。それは大人になって、社会に出て働くようになってからも役に立ちます。職場にはさまざまなタイプの人間がいますから、子どもの頃からいろいろなタイプの人と付き合っていると自分とは意見が合わない人がいたとしても、話し合うことで何とか折り合いをつけていこう、という思考になります。

ところが今は(というか、もう何十年も前から)、子どもたちが外で遊ばなくなりました。子どもたちは、学校が終わったら塾や習い事の予定がつまっていて、遊ぶ時間がないのです。また、たまに遊んでいる子たちを見かけても、公園で2、3人くらいでゲームをしています。5人以上で、いろんな学年の子どもが一緒に遊んでいるという風景は、少なくなってきています。

1980年代から共感能力が低下傾向に

大学生を対象に海外で実施された「心の理論の能力」を調べた結果によると、1980年代から共感能力が下がっていると報告されたそうです。特に「共感的配置」と「対人関係における感受性」の能力が悪化しています。「共感的配置」とは辛い状況の人に共感できる能力。「対人関係における感受性」は、別の人間の価値観にのっとり、その人の視点で世の中を見る能力のことです。

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心の理論の能力は、他人のしぐさや表情、行動などを繰り返し観察することで得られる能力ですが、人と人との直接的なコミュニケーションが減っていったことで、心の理論の能力が落ちたと言われています。

1980年代に大学生だった人は、だいたい1970年代に子ども時代を過ごしています。日本でも1970年代あたりから、子どもたちは外遊びよりもテレビゲームをやる子どもが増えてきていますから、海外での調査結果と一致するでしょう。

1970年代に子どもだった人の世代あたりから、他者とコミュニケーションを取ることが苦手な子どもが増えるようになったと言えるのではないでしょうか。その結果、心の理論の能力が落ち、他者とどう接していいかわからない人が増えてコミュニケーションを回避するようになったのでしょう。

見波 利幸 日本メンタルヘルス講師認定協会理事

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みなみとしゆき / Toshiyuki Minami

1961年生まれ。大学卒業後、外資系コンピューターメーカーなどを経て、1998年に野村総合研究所に入社。主席研究員としてメンタルヘルスの研究調査、研修開発に携わり、日本のメンタルヘルス研修の草分けとして活躍。2015年より日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事に就任。研修、講演、カウンセリング、職場復帰支援、危機対応、メンタルヘルス講師の育成などを精力的に行っている。著書に『心が折れる職場』『上司が壊す職場』(以上、日経プレミアシリーズ)など多数。

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