中国政府が濫用、「内政干渉」がはらむ深刻な問題

議論を封じ込め、国際社会との対話も回避

第2次世界大戦後は、西欧列強の植民地支配から多くの国が解放されたことで、民族自決や平和共存とともに内政不干渉の原則が新興国の独立運動を支えるという歴史的役割も果たした。

そして、1970年の国連総会では、いずれの国も「他国の国内問題または対外問題に干渉する権利を有しない。武力干渉、介入、威嚇は国際法違反である」という決議が採択されており、内政不干渉の原則は広く国際社会で当然のことと認められた。

具体的には、特定の国の政権交代をもくろんで反政府勢力への軍事的、経済的支援などを行うことなどが想定されていた。つまり、内政不干渉は主権国家の自立性を尊重し、ある国が別の国を力で抑え込んで自分たちの都合のいいようにさせることが違法であるという考えだ。

人権問題への介入は内政干渉ではない

同時に戦後、国際社会での人権問題に対する関心の高まりが内政不干渉の概念に大きな影響を与えた。かつては特定の国の人権問題に介入することは内政干渉になるという主張もあったが、南アフリカの人種差別問題やパレスチナ問題など深刻な人権問題を前に、国連などがこうした問題の解決に関与することは当然であるという考えが次第に広まっていった。

そして、1993年、オーストリアのウィーンで開かれた世界人権会議で「すべての人権の促進、保護は国際社会の正当な関心事項である」という宣言が採択されたことで、人権問題への関与は内政干渉にはならないという考えが定着していった。

しかし、内政干渉という言葉は近年、こうした本来の考え方に基づいた使われ方がほとんどされていない。

2014年のロシアのクリミア半島の併合について、欧米諸国が「国際平和と安全保障への脅威であり、国際法違反だ」などと激しく非難し、制裁を課すと、ロシアは内政干渉だと反発し、中国は内政不干渉を理由に事実上、ロシアを支持した。

2020年のベラルーシの大統領選の不正疑惑やルカシェンコ大統領による批判勢力の弾圧に対し、欧米諸国が制裁を発動すると、ベラルーシだけでなく、ロシアや中国もそろって内政干渉だと反発している。

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