乃木坂46「過去の有名アイドル」との決定的な差 時代と共に変わる彼女たちのセカンドキャリア

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【乃木坂46】
結成メンバーである1期生は34人でしたが、現在は6人(今秋に卒業を予定している高山一実を除く)。2期生は当初の14人から現在は5人。そして3期生12人からも初めて卒業メンバー(大園桃子/9月4日卒業)が出たため、結成から10年で38人のメンバーが巣立っていることになります(4期生は追加入含め16人全員在籍中)。

主な卒業メンバーでは、深川麻衣(4年10ヵ月/25歳)、橋本奈々未(5年6ヵ月/24歳)、生駒里奈(6年9ヵ月/22歳)、若月佑美(7年3ヵ月/24歳)、西野七瀬(7年4ヵ月/24歳)、衛藤美彩(7年8ヵ月/26歳)、桜井玲香(8年/25歳)、白石麻衣(9年2ヵ月/28歳)、堀未央奈(8年/24歳)、松村沙友理(9年10ヵ月/28歳)などという具合。今のところ、平均すると在籍期間7年、24~25歳で卒業というケースが多いですね。

結論。大所帯アイドルグループの中心メンバーはおおむね8年前後在籍、24歳前後が卒業時期というのが主。また近年は卒業時の年齢が少しずつ上がっている傾向が見て取れます。

こうして20代半ばでグループから巣立っていくアイドルが、その後も芸能活動を続ける場合、アイドル時代よりも遥かに長いであろうセカンドキャリアが彼女たちを待っています。

過去の例を見ると、タレント、女優、モデルに転身するパターンがほとんど。意外なほど、ソロの歌手として活動する方は少ないです(グループ時代からソロが主だった「おニャン子クラブ」は除く)。

そして、息長く活躍できる方が少ないのも悲しい現実。上掲のグループですと解散から30年余りの「おニャン子クラブ」からの国生さゆりや渡辺満里奈、生稲晃子などはレジェンド級として、「AKB48」卒業後に女優としてコンスタントに活躍している前田敦子や大島優子、在籍時より知名度を上げたとも言える川栄李奈、そして今をときめくバラエティの女王=指原莉乃などが、芸能界で相応のセカンドキャリアを飾っている数少ない成功例です。

元乃木坂46の挑戦

そんな中、この夏クールの連続ドラマで特筆すべき事態が!

『漂着者』(テレビ朝日系)に白石麻衣、『ハコヅメ~たたかう!交番女子』(日本テレビ系)に西野七瀬、『プロミス・シンデレラ』(TBS系)に松村沙友理(このドラマには、一時乃木坂に“交換留学生”として在籍していた松井玲奈も)、『お耳に合いましたら。』(テレビ東京系)に伊藤万理華、『サレタガワのブルー』(TBS系)に堀未央奈……さらに『シェフは名探偵』(テレビ東京系)の第1話に井上小百合、『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京系)第1話に永島聖羅、『八月は夜のバッティングセンターで』(テレビ東京系)第4話に深川麻衣、『お耳に合いましたら。』第6話には桜井玲香が出演し、伊藤万理華と共演……という具合に、元乃木坂46の女優が一斉に10人も登場してきたのです。

乃木坂46の卒業メンバーは他グループより女優志向が高い傾向にあるものの、同じグループに在籍していた元アイドル女優がこれだけ大挙して、同時期に複数のドラマへ出演したのは異例中の異例、過去にはなかったことです。

「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」とは、作家・林芙美子記念館が遺した言葉。前述の如く、アイドル卒業後のセカンドキャリアが厳しいのは、先人たちの足跡を見れば明らか。ターゲットとする客層が大きく広がるワケですから、それなりのスキルが必要なのは自明の理です。

その中で新たな領域を目指そうとしている元乃木坂46たちの挑戦。

この他にも、若月佑美や能條愛未、伊藤純奈なども女優に転身しています。もちろん、セカンドキャリアでの成功には様々な形があるものの、彼女たちの中から何人が女優として花開いていくのか、見守っていきたいと思います。

小林 偉 メディア研究家

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こばやし つよし / Tsuyoshi Kobayashi

メディア研究家、放送作家、日本大学芸術学部講師。東京・両国生まれ。日本大学藝術学部放送学科卒業後、広告代理店、出版社を経て、放送作家に転身(日本脚本家連盟所属)。クイズ番組を振り出しに、スポーツ、紀行、トーク、音楽、ドキュメンタリーなど、様々なジャンルのテレビ/ラジオ/配信番組などの構成に携わる。また、ドラマ研究家としても活動し、2014年にはその熱が高じて初のドラマ原案・脚本構成も手掛ける。

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