「フェアレディZ」がレトロモダンになった理由 デザイン部門トップの記憶と「GT-R」の存在

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このシルエットを強調するため、サイドにはリアに向けてなだらかに落ちていく、“リバースウェッジ”と呼ばれる線を入れている。

スポーツカーの造形というと、勢いを表現するために、リアに向けてせり上がる“ウェッジシェイプ”を取り入れることが多い。しかし、歴代フェアレディZでウェッジシェイプを採用したモデルはない。その伝統を継承したことが、新型ZをZらしく見せているのではないだろうか。

現行の「Z34型」と比べると、フェンダーの張り出しが控えめで、伸びやかに感じるところが目につく。でも、リバースウェッジのおかげで、リアフェンダーの盛り上がりが目立ってもいる。

さらに田井氏は、新型電気自動車「アリア」とのつながりも考えたとのこと。たしかにルーフの両サイドに入れたシルバーのラインに共通項を感じる。

SUVの電気自動車として発売される「アリア」(写真:日産自動車)

新型フェアレディZのボディサイズは、全長172.4インチ(4379mm)×全幅72.6インチ(1844mm)×全高51.8インチ(1316mm)で、長さは約120mm延びているが、幅や高さは変わらない。プラットフォームを現行型から受け継いでいることもあり、100.4インチ(2550mm)のホイールベースも同じだ。

ヘッドライトのリングに見る「240ZG」の面影

フロントマスクは長円形のLEDヘッドランプ、角形グリル、エンジンフード中央の盛り上がりなどが特徴。これらは、S30型の造形を継承したものである。

ヘッドランプはS30型の高性能版として君臨していた「240ZG」にヒントがあるという。240ZGはヘッドランプに透明なカバーがついていて、光が当たるとカバーに光が反射して丸い輪ができる。これをリングとして再現したのだそうだ。

LEDヘッドライトの点灯イメージ(写真:日産自動車)

プロトタイプとの違いは、ヘッドライトのサイドにウインカーランプが追加されたことだが、ちょうどリングの切れ目に埋め込んであるので、違和感はない。

グリルは、初代のバンパーを外したレーシング仕様をイメージしたようだが、大きさについては賛否両論があったという。筆者も「もう少し小さいほうがいい」と思っていた。でも、今回の発表で少し考えを変えた。

考えを変えた理由は、今回お披露目された2台のボディカラーにある。

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