デヴィッド・ボウイ流「自分を進化させる」思考 マドンナ、レディー・ガガに影響を与えた生き方
ボウイのトリビュート・コンサートに出演したガガは、続いてマイケル・マーティンのナショナル・パブリック・ラジオで、ボウイがいたからこそ今の自分があると語った。 「初めて『アラジン・セイン』のジャケットを見た瞬間に決まったの。19歳の頃よ。あらゆることに対する見方が変わった。レコードをかけて1曲目の"あの男を注意しろ"を聴いたのがアーティストとしての始まりだったわ。ここまですごい音楽的視点を持った人を聴くのは初めてだった。何せ壁を越えていろんなジャンルや種類の音楽を組み合わせるんだから」
「私は着るもので自分を表現するようになった。もっと自由に選択するようになったし、もっと楽しむようになったの。要は、友人たちと私は幼いころから、音楽、ファッション、テクノロジーに浸かる日々だったってこと。それは彼のおかげ。あれほどガツンとショックをくれてリスペクトできる人に出会わなかったら、私はここにいないし、今みたいな哲学も持てなかった。別の惑星とか別の時代から来たようなミュージシャンに出会って、すっかり自分が変わったってことよ」
前に進もう、引きずられないように
ボウイ自身の発言を紹介しよう。CBSの「ミニッツ」のインタビューは放送されることはなかったが、彼の死後に番組のウェブサイトで公開された。その中で彼は、ファンが彼のキャラクターと彼自身を重ねることについてこう語っている。
「ある意味で、ジギー・スターダストを別の展開に持っていく考えに固執しなくてよかった。ジギーで映画を作ろうというアイディアもあったけど、ある人がこう言ってやめさせたんだ。『どうしてそんなのやりたがるんだ。どうしてそんな中途半端なタイアップをしたがるんだ。みんなにはそれぞれ のジギー・スターダスト像があるから、君が物語の背景を発表したらそれを裏切ることになる』。そう言われて『ああ、そうだな』と思ったよ」
「演技と衣装とかの外面を取り去ったときに、僕の中に残るのは作家なんだ。自分の書く題材について調べるようになって、突き詰めるとそれは主に孤独についての曲だった。孤独とある種の精神的な探求、他者とのコミュニケーションを手さぐりすること。結局それ、40年間書いてきたテーマはそれなんだよ。さほど変わっていないね。これまでいろいろと衣装を変えて毎回いろんなアプローチを使ってきたのは、問題に対して別の解決策を探るためだ。そうやって少しずつ解決に持っていくということでは他の人と同じだね」
ボウイのギタリストだったカルロス・アロマーは、ボウイとの仕事をこう振り返る。「ボウイのところに出向くたび、こっちも変化が必要だった。彼が欲しがるのはR&B、ロックンロール、エレクトロニック・ミュージック、エマーソン・レイク&パーマーみたいなサウンド、ロマンチックな音楽と毎回変わるんだ。鍋をかき混ぜるとシン・ホワイト・デュークが現れるみたいなね。彼は1カ所に留まることがなかった。安住することが好きじゃなかったんだ。安住することはジャンルに縛られるわけだから、注意しないとね。つい居心地のいい場所に留まっていると、いつの間にかこっちは置いてきぼりを食ってしまう。ボウイはいいことを言っていたよ。『さあ前に進もう、引きずられないように』とね」。
ボウイがキャラクターとスタイルを変えると、一部のファンは離れていったがそれでも構わなかった。彼は絶えず前に進み、忠実でコアなフォロワーを維持しながら新たなファンを獲得した。デビッド・ボウイから学ぶべきことは、何十年にもわたって成功を維持し新たな顧客を引き付けるためには、自分の核となる能力、長所、目的を理解した上で、変化を許容しなければならないということだ。
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