デヴィッド・ボウイ流「自分を進化させる」思考

マドンナ、レディー・ガガに影響を与えた生き方

起業家とミュージシャンには共通するものがある。その理由をご存じでしょうか?(写真:anthony/PIXTA)
起業家とミュージシャンに共通するのは、進化する世界の先に行かなければ生きていけないことだ。そのためには自分を常にアップデートさせ続けていく必要がある。『創造思考:起業とイノベーションを成功させる方法はミュージシャンに学べ』(パノス・A・パノイ/R・マイケル・ヘンドリックス著)に書かれている伝説のアーティスト、デビッド・ボウイのエピソードから、そのヒントを解説する。

変わり続ける男

「デヴィッド・ボウイが亡くなってから1年後、『スターダスト・アンド・スノー』という子供向けの本が、イギリスのオブバース・ブックス社から出版された。その中で著者のポール・マグーズは、自閉症の少年が母親と一緒に映画を見にロンドンに行くという、実話のような話を綴っている。

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少年が見る映画は、ボウイがゴブリン・キング役で主演したミュージカル・ファンタジーの『ラビリンス/魔王の迷宮』。首都ロンドンの通りは休日の買い物客でごった返し、雪が降って絵のような光景だ。映画が上映される古いビクトリア朝の校舎に少年が入ると、鬼、話をする虫、巨大な獣など、まるでジム・ヘンソンが操る人形のような生き物たちに囲まれた。騒々しくてにぎやかでお祭りのようで、少年は気後れしていた。隅で大人しくしているとボウイが彼を横に呼んで、透明の仮面を外して彼に差し出すのだった。

「着けてごらん」とボウイは言う。「魔法の仮面だよ。君と同じで僕だっていつも臆病なんだ。でもこの仮面を毎日着けているよ。怖がりは治らないけど、少し気分が良くなって、世界と人々に立ち向かう勇気が湧いてくる。君だってそうなるよ」。そう言ってボウイはどこからともなくもう1つの透明な仮面を出して、自分の顔に着けた。 「さあ、僕たちは見えない仮面を着けた。こちらから外は完ぺきに見えるけど、誰も仮面を着けてることには気付かない」。

55年の間に、ボウイはパフォーマンスで次から次へとキャラクターを変えた。アラジン・セイン、デイヴィ・ジョーンズ、ハロウィン・ジャック、トム少佐、シン・ホワイト・デューク、ジギー・スターダストなどなど。

1971年、彼はアルバム『ハンキー・ドリー』から第1弾シングル「チェンジス」をリリースした。伝説によると「チェンジス」はナイトクラブの曲をパロディ化した捨て曲で、流行を追うミュージシャンを揶揄した曲ともされている。この曲がよもやキャリアを決定づけるとは本人すら思っていなかったとしても、少なくともその歌詞は予言めいている。5枚のスタジオ・アルバムでステージ上のキャラクターを変えるたびに、ボウイは物語、作品、そして自分の観客までアップデートさせた。演劇、文学、音楽、映像、そして金融 (ボウイ・ボンドをチェックしてみるといい!)まで統合し、ポップ・カルチャーをリミックスして銀のスプーンに乗せ、僕たちに届けてくれた。

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