「三菱自動車の"顔"をもう一度構築する」 相川哲郎新社長が思い描く理想のクルマとは

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あいかわ・てつろう●1954年生まれ。78年東京大学工学部卒業後、三菱自動車入社。軽自動車の初代「ekワゴン」の開発責任者を務めるなど、一貫して車両開発にかかわる。2004年常務執行役員商品開発本部長、国内営業や生産の統括を経て、14年6月社長兼COO就任。

昨年から風土改革を行っているが、最大の課題は「上下の対話」と「左右の連携」。若手社員が上司に対してなかなかものを言いにくかったり、ほかの部門に対しておかしいと思っても、あまり事を荒立てたくない気持ちが働いて、あえて発言しないという雰囲気がまだ残っている。「見える化」という言葉があるが「言える化」を進めたい。

――米テスラモーターズのように走りの楽しさを重視したEVもある。三菱自動車では、電動車両の開発の軸をどこに置いているのか。

やっぱり環境に優しいということ。世の中の役に立ちたい。そうでなければいずれ見放されてしまう。単に個人の嗜好だけを追い求めていたら、ブームが去ったら消滅するものになるので、それは避けたい。そういう視点で、アイミーブは環境に最も良い車として開発した。

電気自動車はもっと増える

昨年から販売しているアウトランダーPHEVも方向性は同じだったが、結果として単にエコだけではなく、走りが面白いという評価をいただいている。購入する顧客には3タイプがある。ガソリンを使わずに走れるということに価値を見いだす人、加速がすごいのに静かで乗り味が未来的と感じる人、給電機能に注目する人。今後も広がりの余地があると思っている。

――最近では燃料電池車(FCV)など、ガソリン以外のエネルギーを活用したさまざな車が出てきている。

電動車両の生産比率は20年に2割目指す。

私自身はFCVが普及する前に、EVあるいはPHVが普及するのではないかと見ている。電気というインフラは各家庭に来ている。急速充電器などインフラが整っていないのでEVは売れないという見方も一理あるが、実際に購入した顧客のほとんどは自宅で充電している。そうしたものが浸透すれば、EVはもっと増える。FCVの研究もやっていてわれわれとしては否定するものではないが、水素インフラを作るのはかなり時間がかかるだろう。

社長としての重要な仕事が、EVやPHVの2台目、3台目に、どのような車を出していくのか、どう売っていくのかということ。台数が増えていけば、各国の環境規制にも対応できる。2020年に電動車両の生産比率20%が目標であり、いかに実現するかが今の課題だ。

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