東京五輪に感動した人は、政府を信頼するのか? 3000人の対象の追跡調査からわかった真実
人情に注目して人間行動を分析した『義理と人情の経済学』を執筆した山村英司氏が、約3000人対象の全国調査で、東京オリンピックに関する意識を分析した。
オリンピックで内閣支持率回復?
オリンピック開始直前の記事である。予測が的中した。一つは政権にとって都合のいい「金メダルラッシュ」、もう一つは都合の悪い「感染爆発」である。一つ疑問が残る。
「オリンピックをやってよかった」と考える人が、本当に政府を支持するのだろうか?
二つの考え方がある。
1 オリンピックを招致し開催を主導したのは政府である。したがって、オリンピックの感動をもたらしたのは政府の功績である。当然、オリンピック後に国民は政府を支持するようになる。
2 人々のオリンピックの感動は、選手たちが織り成すドラマによってもたらされる。オリンピックの感動は、競技のプレーヤーではない政治家の思惑とはまったく関係ない。
このような考え方の対立は、水掛け論に終始することが多い。この論争に終止符を打つには、具体的なデータによる統計分析が必要である。
さらに、オリンピックの感動は新型コロナの感染爆発を上回るほど人々を幸せにしたのか? 筆者は大阪大学の大竹文雄教授、京都文教大学の筒井義郎教授を中心とする研究グループが収集した個人レベルのデータを用いて、これらの問いを検証した。
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