東京五輪に感動した人は、政府を信頼するのか? 3000人の対象の追跡調査からわかった真実

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さらに、オリンピック開催による幸福度の変化に着目すると、オリンピック開催前と開催中で幸福度は変化していないことがわかった。先に紹介したロンドン・オリンピックの事例とは異なり、オリンピックを楽しむ一方で、新型コロナの感染爆発は人々を不安に陥れただろう。これら相反する効果が打ち消しあい、結果的に幸福度は変化していないように見えるのである。

以上の証拠からわかるのは、オリンピックに感動したからといって政府を支持するわけではないということである。あくまで、選手のオリンピックの活躍や、その背景にある人知れず流した汗や涙、あるいは選手を支えた家族愛やサポートメンバーの献身などの物語に感動するわけである。

筆者が「『感動』の裏で忘れられた『コンパクト』東京五輪」で指摘したように、現代のオリンピックは、商業主義的と政治的な思惑により金がかかる。莫大な費用をかけた開会式や閉会式(46%)の視聴率は高かった。しかし、ネットニュースに投稿されるコメントの大半には、失望や不満があふれていた。つぎ込んだ費用の大きさと、選手の熱量やそこから受ける感動の大きさは無関係である。

オリンピックのあり方に否定的意見が多い東京人

開催中(7月末)の調査では、より詳細な質問項目を追加した。オリンピックが望ましい条件で開催されているかについての質問である。このデータを用いて得た結果では、開催都市である東京都の住民とそれ以外の日本人の間には大きな違いがあることがわかった。

① 他の県より東京人はオリンピックをやってよかったと考えていない。
② 他の県より東京人はオリンピック規模がコンパクトだと考えていない。
③ 他の県より東京人はオリンピックが過度にビジネスに結びついていると考えた。
④ 他の県より東京人はオリンピック開催条件として夏の東京の気温・湿度は適していないと考えた。

全体として他地域に比べて東京の居住者はオリンピックのあり方について否定的な意見を持っていることがわかった。都民の予想通り、東京の高温・多湿は数値以上にプレーヤーの心身にダメージを与える様子が映像で流された。

テニス世界ランキング2位のダニル・メドベージェフは、試合中に「試合は終えられるが死ぬかもしれない」と訴えた。アメリカのテレビ放映の時間帯を考慮して、最も気温が高い時間に試合を行うことにしたために、選手を危険に晒したのである。

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