世紀の大工事「ロンドン新路線」どこまでできた? 首都中心部にトンネル建設、東西在来線を直結

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クロスレールの着工は2009年だが、ロンドン中心部を貫通して東西の路線をつなぐ構想自体は19世紀から存在した。ロンドンの都市鉄道計画の中で、具体的に「クロスレール」の名が登場したのは1974年だったが、この時点ではあくまで構想にすぎず、1990年代にも一度計画が浮上したものの資金面の問題から廃案となっている。

実現に向けた動きが本格化したのは21世紀に入ってからで、建設に関する法案が2008年に可決されたことでプロジェクトが動き出した。2016年にエリザベス女王が建設現場を視察し、この際に路線名が「エリザベス線」となることが決まった。

クロスレールの路線図(画像:Tfl Rail)

中心部トンネル区間には6つの駅が設けられ、地下鉄他線や近郊電車各線と相互乗り換えができる。気になる運賃だが、ロンドン交通局(TfL)のゾーン制運賃体系にそのまま組み込まれると決まっており、割増料金などは課されない。

ロンドンの地下鉄は「チューブ」と呼ばれているように、地下深くに掘られている細いトンネルに断面積の小さな車両が走っている。一方、クロスレールは地上を走る鉄道と同タイプの大型車両が使われる。最高時速は140kmで、当面は9両編成で運行されるという。

クロスレールは「欧州最大級のエンジニアリングプロジェクト」とも評されるが、その目玉はやはり、ロンドン中心部を横断するトンネルの建設だろう。21kmの複線トンネルは、ほぼ全線を既存の地下鉄ネットワークの下やテムズ川の下をシールド工法で掘るという難工事だった。掘削の最中にはあちこちから古い時代の街の痕跡が見つかり、遺跡の発掘作業を繰り返すという憂き目にもあった。

土木工事は完成したが…

当初の開業時期から大幅に遅れているのは、いくつかの複合的な理由が重なったことによる。ただ、土木工事自体はほぼ目標通りに完成。市内中心部を通るトンネルは東側区間の分岐線も含めて2015年には掘削が完了しており、2018年中の開業目標が示されていた(2018年9月20日付記事「日立「鉄道快進撃」がイギリスで直面した難敵」)。

工事中のカナリーウォーフ駅ホーム=2017年9月(筆者撮影)

開業遅延の理由の1つとして指摘されているのは、4つの異なる既存線を新線で繋ぎ合わせて、シームレスに運行するためのシステム改良と駅構内設備の工事の遅れだ。

西側区間の既存路線、グレート・ウェスタン本線部分はようやく2017年になって電化が完成。一方、東側区間の既存路線であるグレート・イースタン本線は架線集電だが、東側の分岐線が末端部で乗り入れるノース・ケント線は第三軌条方式と仕様が異なる。英国の鉄道民営化で生まれた上下分離方式により、4つの既存線が異なる「運行オペレーター(TOR)」で運営されているという事情もあった。

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