世紀の大工事「ロンドン新路線」どこまでできた?

首都中心部にトンネル建設、東西在来線を直結

既存駅の工事が遅れている状況も見て取れる。郊外にある既存駅のプラットホームの延長やバリアフリー化などを進めた結果、今年になってようやく完成しているところも多い。駅周りの設備更新の状況を見ると、そもそも「2018年中の開通」が可能だったのか疑問に感じなくもない。

一方、クロスレールの運行オペレーターであるTfLレールは、7月29日に発表した工事等の進捗状況を告知する文書の中で「中心部区間で開業時と同じ時刻表通りの列車試験運行を実施中」「トンネル換気システム、列車運行、ソフトウェア、信号システム、電源システムの信頼性を高めるための最終試験が進行中」と説明しており、開通までの準備が最終段階にあると述べている。

筆者は実際に、新規建設区間のうち東側分岐路線の地上区間にあるロンドン東部の「カスタムハウス駅」に足を運んでみた。

ドッグランズ・ライトレール(DLR)と並行して走る試運転列車(右)=2021年8月、DLRプリンスリージェント駅(筆者撮影)

並行して走るドックランズ・ライトレールウェイ(DLR)の同駅プラットホームからは、新線ホームに掲げられた発着案内ボードに発車時刻や行先が表示されている様子、駅ではダイヤ通りに停車するといったテスト運行を行っている状況が見て取れた。試験運行の頻度も上がっており、現在は9両編成の新型車両「クラス345」が1時間当たり12本(片道)走っているが、近くラッシュアワー時への対応テストとして1時間当たり24本まで増やす予定もあるという。

「運用訓練」を経て晴れて開業へ

高架上にあるカスタムハウス駅にはすでに自動改札機も設けられているほか、路線名であるエリザベス線を示す紫色のリングを使った看板も取り付けられている。基本的な駅運営のためのインフラは100%近く完成しており、すぐにでも列車へ乗り込めそうな錯覚を覚えるほどの完成度が見て取れた。

クロスレール中間駅の新装工事も進んでいる。写真はホワイトチャペル駅=2021年8月(筆者撮影)

同駅以外も、構内工事が落成した新駅は施工者からTfLレールへの引き渡しが順次行われており、今後は旅客サービスのためのシステム試験を実施するとしている。

今後は秋に試運転を一旦止め、沿線のトンネルや駅でのメンテナンス関連の作業を実施。その後、早ければ11月にもスタッフやボランティアを実際に列車に乗せる「運用訓練」(トライアルオペレーション)を行う予定とのことだ。これは新線の鉄道システムが旅客営業を行うのに適切かどうかを改めて確認するための訓練で、これが完了すると2022年前半の正式開業への道が開けるという。

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