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世紀の大工事「ロンドン新路線」どこまでできた? 首都中心部にトンネル建設、東西在来線を直結

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前述のように、クロスレールは新線と4つの既存線をつなぐ。本来であれば、例えば最西端のレディング駅から最東端のシェンフィールド駅までの直通列車が中心部区間の開通とともに実現できればいいが、そうはならないようだ。

直通列車が走るまでは「3つの分割された鉄道路線」として運行される見込みだ。中心部トンネル区間と東側分岐線をエリザベス線のメインルートとみなし、レディングやヒースロー空港など西方向に向かうにはパディントン駅で、東郊外に向かうにはリバプールストリート駅で、それぞれ乗り換えが必要になる。乗り換えの際に、地下新駅と地上の既存駅との行き来が必要な期間が生じるかもしれない。

既存線で運行中の「クラス345」=2021年8月(筆者撮影)

一方、中心部区間の開業後にクロスレールの一部となる既存線は、すでにクロスレール用に造られた新型車両「クラス345」を使い、TfLレールによって運行されている。東側のリバプールストリート―シェンフィールド間は2017年5月までに、西側のパディントン―レディング/ヒースロー空港間は2018年5月までにそれぞれ新型車両への置き換えが完了した。したがって、車両そのものはすでに習熟運転が十分に済んでいると言える。

コロナ禍後のロンドンを変える?

TfLレールはクロスレールの開業後の年間利用者数を2億人以上と予測している。特にほぼ並行して走る地下鉄セントラル線の混雑緩和に大きく寄与するだろう。そのほか、ロンドン縦断鉄道とも言える「テムズリンク線」との乗り換え駅となるファリンドン駅は今後、英国内でも最も利用者の多い駅になるとの見込みも挙げられている。開業3年目の2024/25年度には年間総収入が10億ポンドに達するとの指標がある。

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ただ、建設費は当初予算の148億ポンドから、2020年8月時点で187億ポンドに上昇。これは度重なる開通遅延とコロナ禍の影響もあるが、最終的な建設費総額はさらに膨れ上がる可能性も高い。

しかし、クロスレールによる長期的な経済効果は420億ポンド、沿線に新設される住宅は9万戸、ロンドン全体の鉄道による輸送力が一気に10%増加すると見込まれており、投資に十分見合った持続性のあるインフラプロジェクトである、と評価されている。

クロスレールの全面開通により、ロンドン郊外からの通勤が圧倒的に快適になるだけでなく、空の玄関・ヒースロー空港と市内各地への利便性も大幅に向上するだろう。コロナ禍後に海外旅行でロンドンを訪れる人々に大きな驚きを与えることになるかもしれない。

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