【産業天気図・鉄道・バス】旅客数底入れも回復は緩慢、流通など低迷続き終始「曇り」へ


 ただ、企業のコスト圧縮姿勢は簡単には緩和せず、雇用の改善や所得の伸びも小幅にとどまる。旅客数の回復はスローペースだろう。JR東日本は11年3月期の鉄道運輸収入について、上期は前年同期比0.1%減、下期は同0.3%増、通期で0.1%増を予想している。この予想はやや保守的すぎるが、鉄道各社の運輸部門の収入はV字回復を望めないという前提で、11年3月期の業績を考える必要がある。

前期は連続営業減益となったJR東日本は、今期も鉄道の収入が伸び悩むうえ、成長を牽引してきた駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業も、駅改良工事に伴う一時的な閉店や新規物件の開業費などが重荷になる。だが、退職給付費用が大幅に減るため、小幅だが増益に転換する。JR西日本も微増益予想。一方、東海旅客鉄道(JR東海)<9022>は微減益の見込みだ。

鉄道事業の比率が高いJR3社に比べ、私鉄大手は不動産や流通、ホテルなど、鉄道以外の事業の好不調も業績を大きく左右する。流通は個人消費の低迷が続き、売り上げが急回復することは難しい。ホテルも海外のビジネス客不振が打撃だ。両部門ともコスト削減策の成否がポイントになる。一方、不動産は販売物件により振れが激しい。

売上高首位の東京急行電鉄<9005>は減益予想。鉄道の利益は回復するが、不動産販売が大幅に減少。ホテルも赤字から脱出できない。阪急阪神ホールディングス<9042>も減益の見込み。西日本鉄道<9031>、名古屋鉄道<9044>などは増益予想だ。

私鉄大手13社中、営業増益が予想されるのが7社、減益予想が6社。全体では、ほぼ前期と同水準の営業利益が見込まれる。なお、会社側が期初に発表した予想営業利益は慎重な前提に基づくケースが多い。「東洋経済オンライン」では、5社について、会社側予想より高い営業利益を予想している。

(安西 達也=東洋経済オンライン)

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