【産業天気図・鉄道・バス】旅客数底入れも回復は緩慢、流通など低迷続き終始「曇り」へ
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
鉄道・バス業界は、2008年秋からの旅客数の大幅な減少傾向にようやく歯止めがかかり、反転の兆しが見え始めた。だが、その回復は緩やかなペースにとどまる。流通やホテルもなお苦戦が続きそうだ。業界の景況感は10年4月から1年通じて、「曇り」にとどまりそうだ。
前10年3月期は、上場しているJR3社、大手私鉄13社、計16社のうち、京成電鉄<9009>、南海電気鉄道<9044>を除く14社が減収だった。営業増益となったのは、不動産部門の増益が寄与した南海のみ。2ケタ営業減益が9社に上り、西日本旅客鉄道(JR西日本)<9021>、京浜急行電鉄<9006>、名古屋鉄道<9048>は30%を超える大幅減益に陥った。
主力の鉄道は、企業がコスト削減のため雇用調整を進めた影響を大きく受け、旅客数が減少した。出張が抑制され、新幹線など中長距離のビジネス客は激減。高速道路料金割引や新型インフルエンザ流行が響き、観光客の利用も振るわなかった。ただ、前年比のマイナス幅は、後半になると縮小。景気動向にやや遅行性があるとされる鉄道利用者数は、底入れの段階に入ってきた。
10年度に入ると、この傾向は鮮明になっている。東日本旅客鉄道(JR東日本)<9020>が発表した速報値によると、4~5月の鉄道営業収入は前年同期比3.7%増。09年5月は新型インフルエンザの流行で外出がに控えられ、08年5月に比べ極端に落ち込んだことを考慮しても、旅客数の減少にはストップがかかったとみてよい。