コマツ「人手不足の建設現場」を変えるDX化戦略 NTTドコモなど3社と合同で新会社を立ち上げた

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――販路開拓でスマートコンストラクションの導入を進めるにしても、ICT建機の販売価格はまだまだ高いですね。

ICT建機の販売価格もレンタル価格も高いのはそのとおりだ。

ただ、利益率が必ずしも高いかというとそうではない。そもそも建機と鉱山機械は、それぞれ合わせても世界中で年間30万台くらいしか売れない。1億台売れる自動車とは市場規模がまったく違う。その建機の中でも、ICT建機はさらにニッチだ。

四家千佳史(しけ・ちかし)1997年に「BIGRENTAL」を創業。2008年に同社とコマツレンタルが経営統合し、コマツレンタル社長に就任。15年からコマツで執行役員スマートコンストラクション推進本部長。21年7月よりアースブレイン会長も兼務。

高精度であるがゆえに、高額であるICT建機を誰でも買ってくれる訳ではないだろう。

そこで2020年に従来型の建機に後付けでICT施工を可能にするキットを70万円で発売した。このキットはあらゆるメーカーの、どんな古い建機にも取り付けられる。

また先進安全技術の普及で、自動車でも(高精度なGPS〔衛星測位システム〕などの)機器類が広く使われるようになった。それに伴い、ICT建機でも(衛星測位システムなどの機器類の)コストダウンが実現できた。

それでも機能を絞りつつ価格を抑えたので、決して儲かるわけではない。だが、われわれは(建設現場の作業効率化のために)ICT建機を用いた、建設工事のDX化を普及させていかなければならない。

土木工事の「きつい・危険・汚い」を変える

――今後はスマートコンストラクションをどう普及させていきたいですか。

(技術普及論では)最初に技術導入を行うイノベーターとよばれる層が、市場全体のうち2.5%いるといわれている。いま建設現場に導入してくれているのは、このイノベーターたちだ。ここから4年で、イノベーターに向けてスマートコンストラクションをさらに普及させたい。その後の4年で、アーリーアダプターと呼ばれる、情報感度が高い層に普及させていく。そこからはどんどん導入も広がっていくと考えている。

世界には土木工事市場が年間200兆円規模で存在する。これから広がっていく大きなマーケットもある。今は「きつい・危険・汚い」と言われる土木の現場だが、それを「かっこよく・スマート」に、儲かる現場にしていきたい。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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