「アストラゼネカの血栓」怖がる人が知らない事実

「2回目はmRNAワクチン」がなぜできないのか?

欧州医薬品庁(EMA)によれば、EUおよびEEA(欧州経済領域)全体では6月20日までに約5140万回アストラゼネカの接種が行われ、6月27日までに479例の血小板減少症を伴う血栓症が報告された。100万接種に9.3例の割合だ。そのうち100人(21%)が亡くなっている。

台湾は、日本で生産されたアストラゼネカワクチンの無償供与が話題になった。同国の報道では、7月27日までに538万回分(うち日本からが334万回分)入手したうちの410万回超が接種された。

台湾の中央流行疫情指揮センター(CECC)によると、7月21日の時点でアストラゼネカ接種後の血小板減少を伴う血栓症が13例(22~80歳、接種後4~27日)報告された。100万接種あたり4.2例に相当するという。

ただ実のところ、こうした血栓症の副反応について、私はまったく意外とは感じていない。ワクチンは、いわばウイルスが侵入したときの予行演習を体に仕向けるものだ。感染した場合と同じような反応を体が示すのは、想定の範囲内というべきである。

無症状でも「血栓症リスク」はある

実際、新型コロナの合併症あるいは後遺症としての血栓症は、海外ではごく早くから多数報告されていた。

シンガポールの研究では、無症状あるいは軽症者でさえ、回復後も数十日~数カ月間、血栓症リスクの高い状態が続くことが示されている。

新型コロナにかかり、その数カ月後に脳梗塞と診断された18人は、全員が男性、17人が無症状で1人は軽症(下痢のみ)だった。年齢は35~50歳と、一般に脳梗塞を発症しやすい年齢よりだいぶ若かった。

調査対象者と同じ年齢、性別、民族のグループでは、通常の脳梗塞リスクは10万人当たり38.2例だが、この研究に基づく感染者の脳梗塞リスクは推定で10万人あたり82.6例(2.16倍)となっている。

また、感染から脳梗塞までの期間は、0日から最長で130日(中央値54.5日)だった。新型コロナにかかっている間のみならず、治ってからも長ければ4カ月程度、脳梗塞リスクの高い状態が続くことになる。

国内でも、厚労省研究班と日本血栓止血学会、日本動脈硬化学会の合同チームが昨年、新型コロナの入院患者6202人について、血栓症の割合等を調査し公表している。

それによると、血栓症を発症したのは108例(1.86%)。人工呼吸器やECMOを装着した重症例に限ると、その13.2%にも上った。また、6割以上が症状悪化時に血栓症を発症していた一方、4人に1人は回復期に発症していた。

新型コロナにかかった場合に血栓症が起きうるなら、ワクチン接種でも可能性はある。大事なのは、その頻度の違いではないのか。

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