ホンダ「インテグラ」復活が日本で話題になる訳 16年ぶりの復活、なぜアキュラブランドなのか

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1998年モデルのインテグラ・タイプR。シビック・タイプRとともに、3ドアクーペのスタイリングとVTECエンジンによる圧倒的な動力性能で一世を風靡した(写真:ホンダ技研工業)

もう少し説明を加えると、エンジン回転が低いときは吸気の流速が遅く、量も少ないので、バルブの開きを少なくする。これによって、たとえば口をすぼめて息を吹き出すように、少ない空気量でも筒内へ入る勢いが増し、十分な吸気をエンジンに取り込むことができる。もしバルブが大きく開きすぎると、口を大きく開けて息を吐くようなことになり、少ない空気量では十分な吸気が筒内へ入りにくい。

高回転では、筒内へ導入される空気量も多くなるので、バルブを最大に開いて大量の吸気を筒内へ導き入れ、出力を高める。また、吸排気ともバルブが開いている時間を長くし、たとえ排気側から多少吸気が出てしまうとしても、たくさんの吸気を筒内へ流入することを優先する。

しかし、低回転のときに吸気と排気のバルブが同時に長時間開いていると、そもそも少ない吸気が排気側から出てしまうので、筒内の空気量が減ってしまうため、吸排気バルブが同時に開いていないようバルブ開閉時期を調整するのである。

市販車でありながら1リッターあたり100馬力を実現

以上のような作動をエンジンの運転状況に応じてVTECが行うことで、日常的には軽くアクセルペダルを踏んでも力強く、なおかつ余計な燃料を使わず燃費よく、一方、高回転まで回したときには、存分にエンジンの性能を発揮させることができた。これによって当時としては驚異的な排気量1リッターあたり100馬力を自然吸気エンジンで出すという快挙を成し遂げた。

VTECが高回転側へ切り替わると、グンッと速力が増し、力を絞り出すような高周波音になって、あたかもレーシングカーを運転しているかのように夢心地の気分になれた。VTECの効果を体感し、音でも感じられたのである。

VTECは、ホンダ独創の技術であり、ほかの自動車メーカーもホンダの特許が切れたあとに可変バルブタイミング・リフト機構を別の方式で採り入れるようになる。この技術は、まさにF1を戦うホンダらしさを代表するエンジン技術のひとつである(ただし、F1では低回転域は必要ないので採用していない)。

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