ホンダ「インテグラ」復活が日本で話題になる訳 16年ぶりの復活、なぜアキュラブランドなのか

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クイント・インテグラのリヤビュー(写真:本田技研工業)

クイント・インテグラは、プレリュードのようなリトラクタブル式ヘッドライトを備え、ベルノ店での特別なクルマという価値を共有した。小型でも上級な価値として、すべての車種が高性能なDOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)エンジンを搭載し、当時、第2期のF1参戦で大活躍したホンダの技術の高さを、手頃な価格で手に入れられる小型車で実現したことも人気のひとつと言えた。

クイント・インテグラに搭載された1.6L DOHC 16バルブ+PGM-FIエンジン(写真:本田技研工業)

クイント・インテグラが販売された1985~1989年は、まさにバブル経済の成長期であり、合理性より格好よさや高性能が尊ばれた時代でもある。

1989年、インテグラにホンダ初のVTECが搭載

写真は1990年モデルのインテグラ4ドア・ハードトップXSi(写真:ホンダ技研工業)

クイントの名称が外れ、インテグラと名乗るようになった1989年からの2代目は、DOHCエンジンをさらに高性能化するVTEC(ブイテック)というバルブ技術が採用され、ホンダエンジンへの憧れを一気に高めた。VTECは、その後のシビックやNSXなどへも展開されるのだが、インテグラがホンダ車で初の採用であった。

ホンダは、2輪4輪汎用を通じて、世界一の規模を誇るエンジンメーカーだ。また、4輪進出の際に公開された軽自動車のT360やS500は、DOHCエンジンを搭載していた。そうした歴史的背景と、VTECというエンジン技術の高さが、当時を知るファンにとって今なお忘れられないホンダならではの逸話であり、それが今回のインテグラ復活の一報がアメリカのアキュラ販売店でのことでありながら、国内でも情報が流れた背景といえるだろう。

タイプRに搭載された1.8L DOCH VTEC+PGM-FIエンジン(写真:本田技研工業)

では、VTECとは何なのか?VTECとは、可変バルブタイミング・リフト機構(Variable valve Timing and lift Electronic Control system)のことで、エンジン回転数が低く負荷が小さいときはバルブリフト(筒内への押し出し量)を少なく、また吸排気のバルブが同時に開いている時間を少なくする。一方で高回転になり、負荷も大きくなるとバルブリフトを最大にし、吸排気のバルブが同時に開いている時間も長くする、ホンダ独創の機構だ。これによって、低回転ではトルクの大きい実用エンジンとして、高回転まで回せば高い出力を生み出す高性能エンジンとして、2つの特徴を1つのエンジンで実現した。日常性と壮快な運転を楽しみたいときにも満足できる、一挙両得のエンジンである。

次ページさらにVTECエンジンを詳しく掘り下げていく
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