地味に受注急増中!パナソニック「実装機」の正体 5G需要など取り込み生産台数は高原状態が続く

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一連の工程で使用される機器や装置のうち、パナソニックはマウンターとスクリーン印刷機を主力で手がけている。マウンターの世界シェアは3割と、業界首位に立つ。

世界における、リフロー炉や検査機も含めた電子部品の実装設備の市場規模は「年間5000~6000億円前後」(複数の業界関係者)。そのうち日本勢のシェアは8割以上に達する。

電子機器の需要増のほか、自動運転などといった自動車の電装化により車載向けのニーズも高まり、市場規模は拡大傾向にある。販売先は、電子機器のサプライチェーンが集積する中国やベトナムなど、日本以外のアジアが7~8割を占める。

“高性能品”を求める声が高まる

九州の玄関口、福岡空港から車で約15分の場所にあるパナソニック福岡事業場。建屋のワンフロアには、最新の実装機が並ぶ試験室がある。

コロナ禍で海外からの主要顧客の来場は減少したが、オンラインでの商談は増え続けている。特に高性能品を求める声が増え、試験室でデモを行いながら顧客とやりとりする意義が高まっている。

顧客の求める技術水準が高まっているのは、電子機器の高機能化が進んでいるからだ。

5Gスマホ向けのコンデンサーは砂粒のように小さい(写真:村田製作所提供)

スマホやパソコンなどの電子機器の大きさ自体は以前からほとんど変わらないが、高機能化に伴い、搭載する部品の点数は増加し続けている。

より多くの部品を基板に搭載するため、電子部品1点1点が小型・微細化し、それらを高密度で配置するニーズが顕在化しているというわけだ。

主に使用される小さな部品のサイズは「0402」と呼ばれ、外形寸法が0.4㎜×0.2㎜と、シャープペンシルの芯先よりも小さい。一般的に、基板に配置される部品の半分以上は「0402」サイズだという。実装機はこれらの部品を70マイクロメートル(μm、1000分の1㎜)の間隔で、1部品あたり0.1秒以下という目にもとまらぬ速さで配置していく。

同時多数接続や低遅延などが特徴の5Gの普及でスマホの高機能化が進み、ウェアラブル端末などスマホよりも小さい基板を搭載する電子機器も増えている。5G対応のスマホの部品点数は約2000点。外形寸法0.25㎜×0.125㎜の「0201」サイズの部品まで出始め、より精緻な配置が求められている。

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