日本株がなかなか上昇できない「本質的な要因」 国内外の主要経済指標の分析で景気を先読み

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中国経済の先行指標として有用なクレジットインパルス(中国国内の与信伸び率と経済成長率の比)に目を向けると、2020年秋頃にピークアウトした後、2021年入り後は急低下し、過去数カ月はマイナス領域に沈んでいる。

この指標は与信の伸び率とGDP成長率を比較したもので、その変化は民間の投資活動のほか、中国政府の政策態度を推し量る一助となる。例えば政策当局が景気対策に積極的になれば、緩和的な金融政策、財政支出の拡大、規制緩和などを通じて民間の経済活動は加速する。あるいは地方政府のプロジェクトが動きだす。その際、与信量(貸出)は経済成長率を上回るペースで加速し、クレジットインパルスは上昇する。

過去数カ月、この指標がマイナスで推移しているのは経済活動が落ち込んでいるにもかかわらず、政府が景気刺激に動いていない可能性を示唆する。こうした状況で当局は7月に預金準備率を0.5%引き下げ、金融面から景気を支援する構えをみせた。

こうした措置が奏功することで景気の急減速は回避できると期待されるが、この指標が世界の生産活動を反映するグローバル製造業PMIに約1年の先行性を有することに鑑みれば、やはり今後は世界的な景気減速を意識せざるを得ない。このように中国経済に対して不安を抱く投資家は多いはずだ。

日本の内需回復はなぜ期待しにくいのか

日本株が出遅れているもう1つの本質的要因は、やはり日本の内需に対する懸念が大きい。実質GDP(4~6月期、速報値)は前期比プラス0.3%、同年率プラス1.3%であった。事前予想よりもやや強めの数値だが、1~3月期の落ち込み(前期比年率マイナス3.7%)の一部を取り戻したにすぎず、期待外れの結果である。また足元でコロナ感染が再拡大している現状を踏まえると、7~9月期も欧米諸国のような大幅回復は期待しにくい。

個人消費は前期比プラス0.8%、同年率プラス3.4%と2四半期ぶりにプラス成長であった。形態別にみると非耐久財(前期比マイナス0.6%)が減少した反面、耐久財(プラス0.4%)と半耐久財(プラス1.9%)は増加し、対面型サービス業の不振にもかかわらずサービス消費(プラス1.5%)も戻した。

もっとも、個人消費の水準は2019年同期比でマイナス4.8%と停滞しており弱い結果である。先行きも、速報性に優れたサービス業PMIや景気ウォッチャー調査が低水準で推移していることを踏まえると回復は期待しにくい。

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