米国では新型コロナウイルスのデルタ変異株が最初に流行したホットスポットの多くで、感染症例が減少しつつある。これは米国の他地域も近く追随し得ることを意味しており、最近フロリダ州や米南部のディープサウスと呼ばれる地域で見られた大量入院と死者急増を回避できるかもしれない。
米国は1日当たり1000人以上の死者を記録し、その数は1カ月で3倍以上に増加した。しかし、米疾病対策センター(CDC)のデータによると、デルタ株感染急増の発端となったアーカンソー州とミズーリ州では、新規感染者数の7日間平均がピークから12%減少。次にデルタ株感染の波に見舞われたフロリダ州とルイジアナ州でも同様の減少が見られ始めている。他州では感染が増えているものの、ペースは鈍化している。
米国のコロナ禍で数少ない不変の真実の1つは、感染の急増が数カ月以上は決して続かないことで、その後は日々の感染は減少する。だが、パンデミック(世界的大流行)の終わりは近いという考えを含め、多くの想定は感染力の強いデルタ株の出現で疑問視されている。
楽観主義者の見解
6月初旬に感染の波が始まったアーカンソー、ミズーリの両州では約2カ月後に収束。フロリダ州とルイジアナ州の感染急増はミズーリ州に約2週間遅れて始まり、(7日間平均が最初に週間で持続的に増加した週から数えると)約58日間続いた。米国の他地域の波は23日で60日が経過した。
エール大学公衆衛生大学院やハーバード公衆衛生大学院、スタンフォード・メディスンが参加するモデリングプロジェクト、Covidestimによると、1人の感染者が何人に感染を広げるかを示す実効再生産数は大部分の州で減少している。実効再生産数が1未満になると症例が間もなく減少すると予想され、22州が既にその水準を下回っている。他州の大部分は1から1.2の間にあり、低下傾向にあるという。
米国の感染がピークに達すれば、過去数カ月の間に構築された免疫などの結果、感染者数の持続可能な落ち着きが見えてくるとの予想も一部浮上する。
悲観論者の見解
ただ、デルタ株感染の波がすぐに収まったとしても、状況改善は短命に終わる可能性もある。ワシントン大学医学部保健指標評価研究所が先週警告した通り、学校の授業再開に伴い感染力が非常に強い変異株が大学生やワクチン未接種の学童の間で再び拡散する恐れがある。
ワクチン接種完了者も感染懸念拭えず、研究者も未解明の問題山積
ノースダコタ州とサウスダコタ州は昨年、夏の感染急増が弱まったわずか数週間後の9月初旬に再び感染ホットスポットと化した。感染の流行は最終的に中西部に広がり、その後に全米をのみ込んだ。
最近では、英国のデルタ株感染の波も前例となる。症例は7月20日頃にピークに達し、数週間で急減した後、再び急増し始めた。
これは、ワクチン接種が進む中で入院件数や死者数が既に多くの人の想定を上回っている米国での問題を意味する可能性がある。集中治療室(ICU)の高い稼働率を考えると、遅行指標である死者数は何が起ころうとも高水準が続く公算が大きい。
原題:Covid Optimists See U.S. Nearing Delta Peak, But Risks Abound(抜粋)
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著者:Jonathan Levin
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