攻勢かけるリクルート 人材業界大再編がいよいよ加速

拡大
縮小



急拡大する派遣市場 日本市場は群雄割拠

 確かに同社が注目した派遣業界は急成長の一途をたどっている。昨年末の厚生労働省の発表によれば、06年度の派遣労働者数は前年度比26%増の約321万人。業界規模も同34%増の5兆4189億円に至った。90年代までは1兆円前後で推移していたが、99年の派遣対象業務の原則自由化で成長軌道に乗り、03年法改正により04年からメーカーの製造ラインへの派遣が解禁されるとさらに拍車がかかった。

 日本の派遣業界は、その特徴の一つとして事業者数の多さを挙げることができる。06年度に派遣実績のあった事業所は約2万8700。前年比およそ7割増だ。リクルートの派遣部門とスタッフサービスを合わせてもシェアは全体の1割に満たない。一般人材派遣の大手は人材サービスの幅広いラインナップをそろえるが、規模では彼らにかなわないものの特徴ある専門事業者も数多い。

 たとえば技術者派遣の分野では、メイテックが圧倒的な存在感を誇る。同社は「登録型」でスタッフを集める一般人材派遣各社とは異なり、「特定派遣」、つまり自社で正社員雇用した理系の大卒、院修了の技術者を教育し、機械、電子、半導体デザインなどメーカーの設計・開発といった中枢部門に派遣している。技術者のレベルの高さには定評があり、技術者派遣における1時間当たりの請求単価は業界平均で3000円強の中、同社は5割増しの5000円弱が平均だ。業界では「メイテック単価」と呼ばれ、ベンチマークとされている。

 また目下、急拡大しているのがVSNだ。同社はメイテック創業者で馬主としても著名な関口房朗氏が04年に設立。メイテックとは異なりIT・情報システムといった単価は低いが、ニーズの高い分野の開拓に注力し、それが軌道に乗っている。

 メーカーの設計・開発といった上流部門に派遣する技術者派遣に対して、製造ラインへの人材供給もニーズが高い。前述のとおり、04年までは労働者派遣法で禁止されていたため、実態は派遣なのに請負を装う偽装請負が蔓延していた。法改正と当局の指導の結果、そのほとんどが派遣契約に切り替えられた。

 この業界の最大手は、06年秋に当時売上高6000億円弱のクリスタルを買収したグッドウィル・グループだが、介護のコムスンの身売りに続き、祖業の日雇い派遣も事業停止命令を受け、グループ全体の存続が危ぶまれている。業界古参の日総工産もコンプライアンス体制を整え上場を狙うが、まだしばらくは時間がかかりそうだ。新興企業では九州が地盤のワールドインテック、東海が地盤のアウトソーシングが上場を果たしている。

 この業界で異彩を放つのが、若山陽一社長率いるユナイテッド・テクノロジー・ホールディングスだ。製造派遣・請負の客先を半導体、液晶関連に絞り込み、装置販売、設計受託等に横展開。製造派遣ではまれなスタッフの正社員雇用を行い、装置エンジニアの育成に注力している。

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