2030年に伸びる業界として第1に注目が集まるのは、リチウムイオン電池や全固体電池など、蓄電池関連の業界。
世界の脱炭素へのシフトを受けて、自動車の電動化は確実に進む。日本政府は2035年までに新車販売に占める電動車比率を100%にする目標を打ち出している。ヨーロッパやアメリカ、中国でも電動車の普及目標を掲げており、2035年には世界市場の5割近くが電気自動車(EV)に移行するという予測もある。
電動車で欠かせない部品が蓄電池だ。日本はリチウムイオン電池の開発・実用化で先鞭をつけた。車載用リチウムイオン電池の実用化でも先行したが、現在は積極投資を進める中国、韓国勢が世界トップのシェアを誇るなど躍進が著しい。
日本勢は2030年にかけても海外勢との差を縮めるのは困難だろうが、それでも電動車の台数増に従って一定のポジションを確保するだろう。
電池の安全性と高容量を両立させるための技術革新は現在も進行中で、全固体電池のような新型電池の実用化にも注目が集まっている。
こうした電池を構成する正極材、負極材、セパレータなどの化学部材については、技術力、市場シェアともに日本の化学メーカーの独壇場だ。今後も技術革新が見込まれる電池に関しては、技術力に秀でる日本企業にとってプラスになる。
ITではDXとクラウドが注目
次に注目なのが、IT業界のクラウドやDXだ。
脱炭素と並んで、DXはコロナ収束後も間違いなく進む世界的トレンドだ。実店舗を運営する小売り企業がECを開始したり、不動産業者や民間保険会社が紙や対面で行っていた仕事をIT経由に置き替えたりする。職場のテレワークが一般化するなど世界はますます非接触、非対面によるものへ移り変わっていくだろう。
並行して進むのが、ITインフラの整備だ。とりわけクラウドは初期投資を抑えてスピーディーに導入・縮小ができ、サービス拡張の柔軟性が高いという点がDXと相性がよい。
実際、ITシステムの中で、社内にサーバーなどIT設備を設置するオンプレミス型に替わって、クラウド導入することが増えている。インターネットセキュリティーもクラウド化されたサービスが中心となっていく。
こうしたクラウドのプラットフォームはこれまでアメリカのアマゾンが展開する「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」の一強状態だったが、ここにきてマイクロソフトが持ち前の法人向けチャネルの強みを生かし、「Azure(アジュール)」で猛追している。
日本のITベンダーである富士通やNECなどは、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)を中心とするクラウドのエコシステムの中で、導入パートナー企業として生存し、共存関係を築いていくだろう。
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