古舘伊知郎が分析「スッキリ」加藤浩次の司会力 どんな相手に対してもツッコミながら合わせる

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警察の取調官だって、がんがん追い込んだら黙秘権使われるだけなのを知っているので、左右に揺らしながら、ぶらしながら自白させるようにもっていくんです。MCもそう。

万が一MCが相手をノックアウトさせるようなパンチを入れちゃったら、慌てて抱き起こします。抱き起こして介抱してから、また軽くジャブを打つ。マッチポンプをしないと、相手から本音は引き出せませんから。

プロレスとMCの共通点「合わせ」

先日、アントニオ猪木さんが静養している湯治場に会いに行きました。猪木さんはだいぶお年を召して、ちょっと元気がなかった。そんな猪木さんの今の顔を見て、「猪木さんが現役でプロレスをしていた頃の凄味や強さって何だろう。分析せざるを得ない」と思いながら、帰宅後にプロレス関連のYouTube を見ていたら、前田日明さんのチャンネルで前田さんと藤波辰爾さんが対談していたんです。

前田さんが、「藤波さんがすごいのは、相手がこう来るからこう受けようとか、こうくるからこうかわそうとか、いちいち考えない。相手に合わせて体が反応している。だから俺も信頼してミドルキックもハイキックもできた」と言ったんです。

この「合わせ」って、プロレスではとても大事なんです。プロレスって、ものすごい攻撃を受けたときに「受け身」を取って受けてあげる世界がある。カウンターパンチをよける「かわし」の世界もある。

そして、受け身でもかわしでもない「合わせ」の世界もある。相手が仕掛けた攻撃に対して合わせるんです。ガチンコの戦いとまた違う、舞いみたいなものです。相手の攻撃を際立たせ、こっちがやられていることも際立たせる。二重奏によって、見ている人の興奮度が倍になる。

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