古舘伊知郎が分析「スッキリ」加藤浩次の司会力 どんな相手に対してもツッコミながら合わせる
あの何とも言えない佇まいも、いいです。別に色男でもないんだけど、立ち姿がスッとキレイ。なんか『スッキリ』で司会をはじめた頃よりも大きくなっている感じがしませんか? 年齢的に身長が伸びているはずはないけど、どんどん大きくなっている感じがする。それだけ貫禄がついてきているとも言えるし、「僕の意見だけどね」が全然僕の意見じゃなくてみんなの代弁者になっているところも、彼を大きく見せている一因だと思います。
加藤君はよく、「これ僕の意見ですけどね。どうなんすか。ねえ、どう思います?」って問いかけるじゃないですか。あれは、アナウンサーが、「皆さんはどうお考えでしょうか」って言うのとはまったく違います。
アナウンサーは、文字どおり「皆さん」に問いかけるけど、加藤君は、「どう思います?」って番組を見ている「あなた1人」に問いかける。問いかけられたほうは、そんなにすぐに自分の意見を言語化なんてできないから思わず、「ああ、俺? わかるよ。そういうことだったよ、俺が言いたかったのは」って同調しちゃう。だからハーメルンの笛吹き男のように、みんなが加藤君についていっちゃうんですよ。
白でも黒でもない。ライトグレーな存在だからいい
加藤君は、ツッコミながらも相手に合わせますよね。相手を限界までは追い詰めない。これは加藤君に限らず、MCや司会者なら必ずあります。
「逃げどころをつくる」
そうじゃないと務まりません。殺し屋じゃないんだから、一撃必殺なんて思ってないですよ。『スッキリ』でボクシングの山根会長と対峙したときも、相手が怒るんじゃないかってこともちゃんとツッコむ。司会として豪腕です。
加藤君自身、真っ白が一番いい、一点も汚れちゃいけないっていう正義原理主義者ではない。
「自分は聖人君子ではないけど、それでも人間って、真っ黒になっちゃダメですよね。ライトグレーで生きないと。どう思います?」って感じがありますよね。真っ白だと本当のケンカになる。「あんたの黒を許さない」ってことになりますから。
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