シャープ片山氏引き抜く電産・永守氏の腹案 人格、人脈以外にあったカリスマの目の付け所

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日本電産の永守社長は今月28日で70歳。近年はマネジメント層の強化に腐心している(撮影:今井康一)

永守氏が売上高10兆円に向けたカギとして挙げていたのが、「人材」である。日本電産は永守氏が一代で築き上げたため、マネジメント層の不足が課題だった。

そのため、日産自動車のグループ会社社長だった呉文精氏を副社長にスカウトし、最高執行責任者(COO)を委ねるなど、外部人材を積極的に登用。自身が務める最高経営責任者(CEO)と、呉氏のCOOに次ぐ、CTOの人材として目を付けたのが片山氏だった。

 シャープ歴代トップと懇意

日本電産はモーターの会社であり、片山氏は液晶の技術者。一見無関係のようにも思えるが、接点はあった。シャープは日本電産にとって「超重要な顧客の1社」(日本電産関係者)。実際、シャープ家電には日本電産製のモーターが数多く使われており、その取引の関係で、「永守社長はシャープの歴代トップと親しかった」(同)という。日本電産は今後、モーターの周辺分野に事業を拡大し、車載向けなどへの供給を増やす意向。「(片山氏には)いろんな分野で知見を活かしていただける」(同)と期待は高い。

片山氏にとっても、経営責任論がいまだくすぶるシャープに残るより、新天地に移ることで、ゼロから再出発できるメリットがある。すでに過去の人物になりつつあった片山氏だが、表舞台に返り咲き、どんな動きを見せるのか。目が離せない。

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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