ルール無知で事故増「電動キックボード」の大問題 ひき逃げ事故によって首の骨を折った被害者も

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交通事故問題に詳しい和氣良浩弁護士(写真提供:弁護士ドットコムニュース編集部)

――事故が増えている背景は何だと考えますか。

「電動キックボードは『原動機付き自転車』だというルールを理解していない人が多いからです。また電動キックボードに乗る人に対して、警察が講習を行ったり、ルール違反する人に対して、本気で取り締まったりしようという姿勢が感じられません。

警察が取り締まりを強化する時は、警察組織のトップである警察庁が大号令をかけることが一般的です。『飲酒運転撲滅キャンペーン』や『春の交通安全運動』のようなイメージですね。もちろんこれだけ事故が相次いでいるので、警察も問題視はしているはず。実際、大阪府警は取り締まりを強化しています。トップダウンで『電動キックボード取り締まり強化月間』など一大キャンペーンを展開するべきです」

自動車で事故を起こした場合と同じ罪に

――5月に大阪で起きたひき逃げ事故では、容疑者が自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)、道路交通法違反(ひき逃げ)で逮捕、略式起訴されました。朝日新聞の報道によると、大阪簡裁が罰金50万円の略式命令を出しています。

私有地でしか走れないタイプの電動キックボードが渋谷の街では歩道に施錠されていた

「歩道という歩行者が守られるべき場所で事故が発生したということ、悪質なひき逃げという事案から、本来なら起訴されてもおかしくないケースだと思います。ただ、罰金刑の中で50万円は重いほうなので、相当な議論がされたと推察できます。

また、事故が発生してから、警察、検察もあまり時間をおかずに略式起訴しています。これは当局としても世間の注目度が高いうちに、注意喚起したいという意味から早く起訴したのだと思います」

――電動キックボードで事故を起こした場合、どんな罪に問われるのでしょうか。

「交通事故を起こし、どんな罪に問われるかは、違反の程度と起きた結果の程度の掛け算になります。例えば電動キックボードに乗って、赤信号を無視して交差点に入り、子どもをはねて重症を負わせた場合、ほぼ間違いなく過失運転致傷罪で起訴されます。電動キックボードだから自動車よりも罪が軽くなるということはありません。

交通事故の刑事裁判では、2人以上が亡くなる事故を起こすと実刑になるケースが多い。しかし、私はもっと被害が少ない事故でも、半年でも懲役を科すべきだと思っています」

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