アップル「iPhoneはまだ売れる」と予測するワケ ティム・クックCEO「5Gはまだまだ普及の序盤」

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ただしこの数字は、本当の実力ではないとも述べている。世界的な半導体不足で供給が追いつかない状態が続いており、特にiPhoneとiPadの売上高に影響が出ているとしている。

また次の四半期(7〜9月)は、その影響がより強くなると指摘されており、新製品を伴う決算となっても、今回よりも低い成長を見込んでいる。

ティム・クックCEOは「5G普及は非常に非常に低い状態」との見方で、5G対応のiPhoneの販売がまだまだ伸びていくことを予測している。

ドイツの調査会社Statistaによると、アメリカにおける2020年の5G契約数は1442万件。この数字が2021年にはほぼ4倍の約6000万件、2025年までにさらにその5倍の約3億2000万件に伸びると予測している。

またグローバルの5G契約数でも2020年の約2億5000万件から、2025年には約27億件と予測されており、市場の成長率は10倍以上になると考えられている。

iPhoneはグローバルのシェアの約15%を握り、残りをAndroidが占める市場構成を維持している。その状態の維持に努めれば、クック氏が言うような明るい未来が待ち受けていると考える事ができる。

5G対応の「積み残し」

アップルは例年、9月中旬に新型iPhoneを発表し、下旬に発売するサイクルを維持してきた。しかし2020年は新型コロナウイルスのパンデミックで、部品の供給や製造、フィールドテストなどに制限がかかり、例年より1カ月遅れての発売となった。2021年は今のところ、元のサイクルでの発売に戻るとみられている。

iPhone 12シリーズはアップルとして初めて5Gに対応し、かつ久々のデザイン変更を伴う新製品となった。2021年モデルも基本的には、そうした特徴を踏襲すると考えられる。

ただし、iPhone 12の5G対応には「積み残し」があった。それはミリ波(mmWave)対応だ。

現在のiPhone 12は、アメリカ・Verizon向けのデバイスを除き、Sub-6(6GHz帯域以下)のより広いエリアをカバーできる5Gに対応している。それでも、理論値は下り3.5GHzだ。

一方ミリ波は、26GHz以上の帯域を用いる5Gを指し、下り速度4GHzを発揮する(Verizonのミリ波のスペック)。遮蔽物や水蒸気(雨)の影響を受けやすく、アンテナとデバイスが直接見えている状態でなければ速度が発揮できないとされているが、スタジアムや駅などでの5G利用の高速化が期待できる。

またNTTドコモは、複数の5G周波数帯を束ねて高速化する技術を用いて、Sub-6でも4.1GHzの速度を実現しようとしている。次のiPhoneがどこまで5Gに広く対応していくのかは、モデム調達先のクアルコムとの関係も影響してくる。

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