根拠なき熱狂の再現?ビットコインのナラティブ よくわからない「最新技術」に踊らされる理由
経済学がずっと無視してきた、物語と経済の関係を解き明かそうとする野心作『ナラティブ経済学』の邦訳がついに刊行された。本書から、人々がなぜビットコインのような物語に躍らされるかに関する記述を、抜粋・編集してお届けする。
通俗ナラティブの例:ビットコイン
本書『ナラティブ経済学』は、経済的変化の新理論の発端を提供するものであり、経済を動かす経済要因の一般的な一覧に重要な新要素を付け加える。
それは口承やニュース媒体、ソーシャルメディアを通じて広がる、感染性の通俗物語だ。
通俗的な思索はしばしば最終的に決断に影響する。たとえばいつどこで投資すべきか、いくら消費していくら貯蓄するか、大学に行くべきか就職すべきかといった決断だ。
ナラティブ経済学者、つまり経済行動に影響する通俗ナラティブのヴァイラルな拡散の研究は、経済的な出来事を予測し、備える能力を改善できる。また経済制度や政策の構築にも役立つ。
この方向性の感じをつかんでもらうために、まずは最近全開となっている、そうした通俗ナラティブの一例を見てもらおう。
ビットコインは、何千種類もある民間発行の暗号通貨──ライトコイン、リップル、イーサリアム、リブラなど──のはしりであり、すさまじいおしゃべりや熱狂や起業活動を生み出した。
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