ただし、GPIFが運用する厚生年金と条件を「一元化」することが決まっている3共済(地方公務員共済、国家公務員共済、私立学校共済)とGPIFとの一元化後の運用は、共通に設定された「モデルポートフォリオ」を基に各団体が運用方針を決定して運用を行うことになっている。
だが、3共済では、一元化後の運用方針を来年度に入る「前」に策定し承認を受ける必要があり、このスケジュールから逆算すると、できれば8月末くらいまでに「モデルポートフォリオ」の落とし所を決めておきたい。
そして、このモデルポートフォリオは、事実上、GPIFの新しい基本ポートフォリオに大筋で追随するものにならざるを得ない。政府の有識者会議で座長を務めた伊藤隆敏政策研究大学院大学教授は、GPIFが資産構成の見直しを今秋に前倒しするため、3共済と共同で策定するモデルポートフォリオは有名無実化すると予想し、GPIFの新資産構成が「事実上のモデルポートフォリオにもなる」とし、3共済は時間と労力を考慮すれば「GPIFを見習うしかない」とみていると報じられている(記事はこちら)。随分露骨な発言だが、大筋はその通りだろう。
さて、モデルポートフォリオの原案となり、注目されるところのGPIFの新基本ポートフォリオは、8月下旬くらいの時点で、落とし所に目処をつけているはずだ。9月に新しい計画を発表できるようにするためには、そのくらいのスケジュール感が妥当だろう。
そうした場合、以下は、善悪論ではなく「相場論」として受け取って欲しいが、GPIFの基本ポートフォリオ或いはモデルポートフォリオに関する情報が、8月下旬くらいの時点で漏れ始めるはずだ。情報管理は厳重であるべきだが、完全を期するのは難しい。
投機的な市場参加者といえども、GPIFの新しい基本方針が失望を誘うもの(「国内株式」が20%未満だと危ない)でないことが確信出来ないと、大きなポジションを取りにくい。しかし、GPIFの新基本ポートフォリオがおおむね満足なものだという情報を得るなら、彼らが、日本株に関する買いポジションを作り始める公算は大きい。
もちろん、情報管理は厳重に行われる建前だし、GPIFが20%以上国内株式に配分する運用計画を立てることは「絶対」ではない。また、株式市場には「GPIF」以外の材料もあり得るのだが、このくらいのスケジュール感を「メイン・シナリオ」だというくらいに思って、相場を見てみて欲しい。
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